第96章 ジャレッドとハリソンの対峙

彼がいなかったら、私はいったい何に巻き込まれていたのだろう。

その感謝が、鉛みたいに胸の奥へ沈んでいく。

私が礼を言っても、彼は返事をしなかった。視線は、男に掴まれて擦りむいた私の手の甲に留まる。

「手、怪我してる。ここで待ってろ。薬、買ってくる」

それだけ言うと、彼は立ち上がり、迷いなく警察署を出ていった。

遠ざかる背中を見送りながら、胸の内がぐちゃぐちゃになる。

この男はいつも、いちばん肝心な瞬間に現れて――そして、拒めない形で私の生活へ踏み込んでくる。

彼が出ていった直後、ジャレッドが寄越した4人のボディガードが、私の前で一斉に膝をついた。

男たちは頭を下げ、恐怖で肩を...

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