第101章

当直室の警備員は頬杖をつきながらスマホをいじっていたが、ふと監視モニターに映ったやや奇妙な影に気づいた。

痩身で手足の長い少年が白衣を羽織り、体を隠しながらS区の通路を裸足で歩いている。その足跡は、通った場所にうっすらと水気を残していた。

警備員が身を乗り出し、よく見ようとした矢先、モニターはブラックアウトした。

彼はすぐさま警棒を手に取り、追いかけて外へ飛び出した。

S区は本来、最も危険で防御レベルも最高のエリアだったが、ここ数日、回路のトラブルが頻発し、不安定になっていた。

警備員が廊下に足を踏み入れた途端、頭上で「ジジッ」と微かな音がし、視界が瞬く間に暗闇に包まれた。慌てて懐...

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