第107章

講演が終わった後、山田教授は人だかりに囲まれて取材を受けていた。

唐沢優子は人込みをかき分けて近づけずにいたが、ふと、相馬宗希の視線がどこか上の空で、自分の……隣にいるアメフラシに向けられていることに気づいた。

唐沢優子が相馬宗希に対して抱いている印象は、彼が生物研究に夢中、ほとんど狂信的ですらあるということだ。彼の私的な実験室には多くの生物サンプルが閉じ込められており、残忍なプレパラートの切片も数多くあると噂されていた。

彼女は相馬宗希の視線を遮るように、アメフラシに尋ねた。「少し見て回りたい?私がキャンパスを案内してあげようか」

少年の目は、たちまち輝きを放った。

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