第134章

助手席の警備員が振り返ると、その唇は本当に黒く変色していた。

彼は訝しげに呟く。

「さっきサービスエリアでイカ飯食ったからかな?」

一拍置いて、さらに続けた。

「それに、疫病神だなんて、そんな迷信じみたこと言わないでくれませんか。まさか、俺がこの霧は晴れるって言ったら、本当に晴れるとでも?」

「とにかく、今は黙っててくれ」

運転手がそう言った途端、ドン、と鈍い音がして、車両が正面から何かに衝突した。

彼は素早くハンドルを切り、車体は勢いよく横のガードレールに激突する。その衝撃で、乗っていた者たちの体も大きく揺れた。

バスが急停車した後、一同が顔を上げると、フロントガラスに長い...

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