第158章

だから、彼らがここに足を踏み入れた瞬間、本来はもう存在しない場所へと足を踏み入れてしまったのだ。

では、目の前のすべては、偽物なのだろうか?

彼女の考えを察したのか、藤田高今は首を横に振った。「偽物じゃない」

「唐沢飼育員、我々が今回ホルタへ向かったのは、幽霊船事件の研究に協力するためだったことはご存じですよね?」

唐沢優子は頷く。

彼女の自己意識は、藤田高今の言葉をきっかけに少しずつ蘇り、自分が何者であるかを徐々に思い出していった。しかし、脳内では未だに二つの身分が切り替わり続けている。

「では、四十人編成の傭兵部隊が幽霊船に進入後、行方不明になり、その遺体が海底で発見され、検...

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