第160章

実際のところ、浜辺に描かれた奇妙な陣は神々の寵愛を呼び寄せたのではなく、ノア基地から失踪した生物を召喚してしまったのだった。

唐沢優子は海から這い上がってくるその姿を見て、何かに気づいた。

今夜、放課前の校内放送で、近隣の生物基地から『危険生物』が逃げ出したため、外出の際は注意するようにと告げられていた。

その生物は体が大きく、逆三角形の体つきをしており、どこか肥大して幅広に見える。

唐沢優子はかつて、その生物の背に数人の人間がしがみついているのを見たことがあった。その様は獰猛で醜悪だったが、今、海から這い上がってきたばかりのそれには、何も乗っていなかった。

そのおかげで、彼女は本...

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