第179章

いつの間にか波は止み、陰鬱な雲が一部晴れ、雨脚もだいぶ弱まっていた。

幾重にも重なる触手に囲まれ、崩壊寸前だったノアの保安要員たちは、その触手が収縮していくことに気づいた。そして、深緑色が消えた場所に、すらりとした長身の人影が現れた。

その姿をはっきりと確認する間もなく、人影は最後尾のコンテナ車へと消えた。

全ての通信機器と武装車両は破壊されたが、ノアの保安要員たちは九死に一生を得たかのような安堵に包まれていた。ただ残念なことに、悪夢の中で海に飛び込んだ仲間たちが戻ってくることはもうない。

アセルスは、ほんの数分の間に、飼い主のそばに自分が心底嫌悪し、拒絶したくなるような生物が現れた...

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