第180章

車窓の外に茂る植物は二、三メートルの高さがあり、ごく普通の犬っころ草でさえ、巨大化し鋭い棘を持つ異様な姿へと変貌していた。

森林の上空には不吉な予感を抱かせる灰色の霧が立ち込め、その奥からは時折、甲高く耳障りな嘶きが聞こえてくる。道路沿いは金属製の電網で囲われており、まるで内部から何かが現れるのを警戒しているかのようだ。

唐沢優子は測位システムを起動し、そこに表示された文字を目にした。

『異状変化観察区』

この付近の植物は異常なまでに巨大化しており、生物を捕食する現象も確認されたため、ノア基地によって隔離されている。

インカムから藤田高今の声が響いた。

「ノア基地まで残り二キロだ...

ログインして続きを読む