第182章

密航者たちは森の生き物を「変異獣」と呼んでいた。

しかし、バベルタワーの飼育員である相馬伊織は、それらが怪物ではないことを知っていた。

D級改造の失敗作だ。

これらは、人なのだ。

変異した後に逃げ出した、人間なのだ。

奴らは内臓を貪り食いながら、苦しげな悲鳴を上げている。

岩の裂け目に隠れた人々は、一人残らず蒼白な顔で、息を殺していた。

遠くで轟音が響き、虫型の生物は死骸を食い尽くすと、車の中に生き物を探し求め、車体ごと横転させた。

視界が開けると、人々はすぐそこの木の幹に、白く発光しているかのような銀髪の少年がいるのを目にした。

世俗から切り離されたように枝に腰掛け、ゆっ...

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