第186章

夕方、地震があった。制振ダンパーが揺れ続けていたが、揺れは感じなかった。

唐沢優子が帰ろうとするたびに、あのタコは今にも泣き出しそうな表情を浮かべるのだ。

丸一日、彼女にまとわりついていた。

空は次第に曇り、漆黒の蒼穹には星一つ見えなかった。

ノア基地の領区はバベルタワーの都市とは異なり、大量の製造・加工業、さらには油田やエネルギー基地を有している。

例えば、原子力発電所、航空宇宙産業などがあり、光害はほとんどない。

そして、土地が広く人口が少ないため、政府の管轄が及ばない地域が大量に存在し、それが犯罪取引の温床となっていた。

隣のテーブルの人間が、あるエンジニアの彼女が謎の失...

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