第24章

崩れた壁と瓦礫の中、血塗れの男性警備員と一人の女が走っていた。その背後には巨大な影が潜み、獰猛に二人を追い詰めている。

警備員は職務に忠実に女を守り続けており、身体の至る所に爪で引き裂かれた傷を負っていた。

研究員の女は、髪が乱れ、多少なりとも憔悴した様子ではあるが、目立った外傷は一つもない。

唐沢優子は思わず眉をひそめる。これほどの騒ぎは、必ずや更なる危険な生物を引き寄せてしまうだろう。

案の定、障害物を回り込んだ瞬間、側面から巨大な名も知れぬ爬行生物が猛然と飛び出してきた。

唐沢優子は胸が締め付けられる思いで、無意識に指先に力を込めてしまう。そのせいで、人魚が彼女を振り返った。...

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