第26章

六角広場の中心にそびえ立つ巨大なガラス体は、天を覆い日を遮っていた。中には正体不明の生物が囚われており、ここに留まるのは得策ではない。

唐沢優子は思った。もし救援が来て秩序が回復したら、人魚を自分の研究室に移すよう上に申請しよう。だが、今はここを離れ、生き延び、生きている同僚と合流することの方が重要だ。

広場の縁にある環状帯には、固く閉ざされたドアがずらりと並んでいる。もしかしたら、アルセルや彼女が言っていた警備員たちは、あのドアのどれかの向こうにいるのかもしれない。

押し潰された金属板のそばを通りかかったとき、唐沢優子は地面に滲み出た血痕を目にした。どうやらこの金属片の下には、圧死し...

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