第315章

唐沢優子は彼の手を振り払った。

月は唇を引き結び、静かに、探るようにもう一度手を伸ばし、彼女の指を絡めて自分の手の中に握り込んだ。

まるで、大好きなものを手に入れた子供のように、そっと掴んで離さない。

唐沢優子の表情は、普段と何ら変わりないように見える。

しかし彼女の後ろにいるあの少年は、紛れもなく彼女を愛してやまないという様子だ。

アルセルの心臓がどきりと跳ねた。

彼の瞳から滲み出る深い愛情に、恐怖を覚えたのだ。

猛毒を持つ生物からの愛とは、果たして幸運なのか、それとも不幸なのか?

彼女にははっきりと分かっていた。唐沢優子の傍らには、彼女をかくも深く愛する恐ろしい生物が、一...

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