第33章

蛇のようだ。

青灰色で、氷のように冷たい。

基地の記録によれば、S級実験体の中にデンキウナギの生物が一体おり、まさにこのような外見をしていたという。

人の上半身に蛇の尾、髪も眉毛もなく、目の部分は灰色の薄膜で覆われ、瞼もない。その人知を超えた姿は、唐沢優子の心に理屈抜きの恐怖を植え付けた。

それは部屋に入るなり、空気中の何かを嗅ぐように鼻をひくつかせた。頭部がゆっくりと、ソファの方へと向く。

唐沢優子は素早く人魚を引っ張り、ソファの下へと潜り込んだ。

ソファの下の空間は狭く、彼らは体を丸めてどうにか身を隠すことしかできない。

おそらく人魚自身も異種の生物であるためか、彼は終始落...

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