第336章

この世のどんな邪悪なものが、これら強欲な人間どもをたぶらかしたにせよ、彼女の世界から消え失せろ。

周囲の霧はますます濃くなり、手を伸ばしても指が見えないほどになった。

唐沢優子はヘッドライトを点灯させ、真っ白な霧の中へと突っ込んでいった。

アルセルは心臓の鼓動が速くなるのを感じ、胸を押さえた。「唇……見たわ、彼の口は黒かった」

唐沢優子は頷く。

「覚えてる。あの時バベルタワーから出て、環海道路を走っていた時も、こんな濃い霧が出たわ」

その時も、車内の一人の唇が黒かった。

その男は疫病神と呼ばれていた。彼の口にする言葉は、何でも現実になるからだ。

では、先ほどの牧師は何と言った...

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