第341章

タタタタ……。

 奇妙な音が響く。

 騒がしいバーの中では、それははっきりとは聞こえなかった。

 ただ、窓際に寄りかかっていた人物が最初に我に返り、まだ完全には晴れていない遠くの薄霧をじっと見つめ、震える手で前方を指さした。「見ろよ、あいつら、戻ってきたんじゃないか?」

 見れば、通りの突き当たりに、泥濘にまみれた姿が再び現れていた。

 ゆっくりと、こちらの方角へ蠕動してくる。

 ガラスに細かな水飛沫がつき始めた。

 一度は止んだはずの雨が、また降り出していた。

 タタタタタ……。

 雰囲気が次第に凍りついていくにつれ、バーは静まり返った。今度は誰もがはっきりと、あの奇妙で...

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