第350章

カシャ……

カシャカシャ、カチッ……

微かな電流の音が響く。

カーナビが信号をキャッチした合図だ。

遠くの都市からは轟音が聞こえてくるが、臨海区の砂浜はことさらに静かで、波の音さえいつもより優しい。

澪清司は車内に座っている。その姿はひどく華奢に見えた。

倒したシートに身を預け、眠っているかのように静かだったが、その目は開かれたまま、透明モードに切り替えた車の天井をじっと見つめていた。

手元には空のガラス瓶が一つ。蓋にはいくつか穴が開けられている。星を捕まえるために用意したものだ。

しかし、林の中にはあのような光る小さな虫はいなかった。

まるで、彼女がいなくなったら、それら...

ログインして続きを読む