第355章

唐沢優子とアルセルは猛スピードで走っていた。

背後からは、人間の血の匂いを嗅ぎつけたゾンビのように、無数の影がぴったりと追ってくる。

空に浮かんだ巨大な影が、雲を引き裂いた。

アルセルは顔を上げ、恐怖に染まった声で言った。「まずい、来た!」

それはここにも現れたのだ。街全体を覆い尽くさんばかりに。

唐沢優子には予感があった。この何者かは、自分を目指して来ているのだと。

二つの摩天楼の隙間の向こうに、微かに赤色が見えた。

そいつは彼女たちより一足先に、真正面に現れて進路を塞いだ。

轟音と共に、深紅の触手が大地を裂いて屹立する。

狂乱した人々の群れが、その触手たちを引き寄せたよ...

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