第356章

唐沢優子には、何も見えなかった。

たとえ目が見えなくとも、その磅礴たる邪悪な気配には震え上がった。すぐそこに、地獄のごとき恐ろしい存在が自分を凝視しているのがわかった。

鳥肌が、思わずうなじから這い上がってくる。

恐怖で、彼女の心身は折れてしまいそうだった。

異形の生物が放つ邪悪で恐ろしい圧迫感は、ちっぽけな人間を引き裂かんばかりだ。怪物は、彼女がなぜこれほど震えているのか理解できないらしく、彼女をさらに高く持ち上げた。

彼女の身体がある程度の高さまで移動したとき、何かが伸びてきて、彼女に触れた。

人間ならではの柔らかい肌は、たちまち恐ろしい外骨格に突き破られ、赤黒い血が流れ出し...

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