第360章

唐沢優子は夢を見た。バベルタワーの夢だ。

その高く荘厳な生物実験基地は、彼女がかつて四年間働いていた場所でもあった。

唐沢優子の胸に複雑な感情が込み上げる。バベルタワーは今や破壊され、目の前にあるのは故郷に帰ってきたかのような錯覚だった。

周囲に人影はなく、視界はぼんやりと霞んでいる。

唐沢優子は扉を押して外へ出ると、見慣れた道筋を辿ってS区へ向かったが、銅牆鉄壁に阻まれた。

この夢はずいぶんとリアルだ。

手を伸ばして指紋認証システムに触れると、ピッ、ピッという二度の音の後に赤いランプが灯り、スクリーンに『認証失敗』の文字が躍り出た。

続けて瞳のスキャンも試したが、やはり失敗。...

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