第368章

とっくに廃墟と化した街。

十年前の映画広告は黄ばみ、白っちゃけている。鉄筋コンクリートで造られた冷たい都市は、正常な運営と清掃が行われなくなったことで、多くの植物が野蛮に生い茂っていた。

人間の活動の痕跡は薄れていく。

人間にとって代わり、機械的に街を徘徊していた擬態生物たちは、申し合わせたかのように足を止め、のろのろと影の中へと後退していく。

まるで陽光を恐れる吸血鬼のように。

唐沢優子は後ろから誰かにきつく抱きしめられ、手首を掴まれていた。肩が少し湿っている。

地面に落ちた影からすると、背後の人物の輪郭はかなり背が高い。

彼女を完全に影の中に覆い尽くし、同時に、片手で唐沢優...

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