第408章

目を開けると、まず目に入ってきたのは深い緑色だった。こっくりと濃厚な色彩だ。

彼女は混沌とした空間にいるようだった。一見すると無限に続く回廊のようだが、扉ひとつないその場所は、廊下と呼ぶにはあまりに異質だった。

頬に、じわりと濡れた感触が伝わる。

緩慢な思考が覚醒へと向かう中、唐沢優子はぱちくりと瞬きをした。視線の先には、冷ややかな美貌を持つ男。彼は優子の首に腕を回し、慈しむように、細やかな口づけを落としていた。

彼は片手で優子の肩を支えつつ、肩にかかる髪を丁寧に掬い上げると、空いた手で何かの中へ――まるで壊れ物を扱うかのように慎重に――しまい込んだ。

状況を把握するより先に、唐沢...

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