第410章

あの特殊な空間にある家屋で、彼らは何日も過ごした。

外に出ると、正常な世界は夜が明けたばかりだった。

たった一晩しか経過していなかったのだ。

山田は何度も唐沢優子を探していたらしい。特殊空間から脱出した直後、彼女は数十件の着信に気づいた。折り返すと、ある実験の手伝いで緊急の呼び出しがかかっているとのことだった。

指定されたオフィスに入ると、デスクの前で人影が横を向き、電話をしていた。

「体温は?」

「あぁ」

「テスト状態、精神的なパフォーマンスはどうだ?」

声を聞くだけで、誰だか分かった。

空は曇天。わずかな光の暈(かさ)が彼のシルエットを縁取っている。長い指には煙草が一本...

ログインして続きを読む