第413章

 空間の歪みが異常をきたしていた。特殊な空間生物が放つ不気味な磁場の波動が、皮肉にも唐沢優子に猶予を与えてくれたのだ。そのおかげで、特殊部隊の武装要員よりも一足早く、実験室への潜入に成功した。

 視線の先には、見覚えのある魚の尾を持つ生物がいた。目を閉じ、深く眠っているように見える。

 傍らには空になった注射器が転がっていた。

 怪我をしているのだろうか?

 唐沢優子の心臓が早鐘を打つ。

 闇の中、近づく気配を察知したのか、彼は冷ややかな視線を上げた。だが、次の瞬間にはその鋭い気配を潜める。

 彼が、彼女を認めたからだ。

 湿った長い髪が肩にかかり、肌は傷だらけだった。

 そ...

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