第418章

「ねえ、僕のお願い、聞いてくれる?」

音のない津波が、研究員の脳を席巻していた。

巡礼のような想いで崇拝してきたその美しい生物が、薄く整った唇を開き、人間の言葉を紡いだのだ。これほど彼を激昂させる出来事は他になかった。

このまま死んでしまいたいほどの昂ぶり。たとえこれが夢だとしても、彼はこの夢に溺れ、永遠に目覚めたくないと願った。

その瞬間、男性研究員の脳裏にある言葉が浮かんだ。

メドゥーサ。

間違いなく、メドゥーサだ。

深海からの召喚、極上の罪深き誘引。誘惑は死と隣り合わせで、身震いするほどの蠱惑(こわく)性を帯びている。拒絶することなど不可能だ。全身が硬直し、すべての細胞が...

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