第53章

「優子」

青年は絵のように眉目秀麗で、禁欲的な顔立ちをしているというのに、その瞳はねっとりと絡みつくような愛情を伝えていた。

「あ、会いたい……」

この瞬間、唐沢優子の心境はことのほか複雑だった。

以前タコちゃんと遊んでいた時は、とても楽しかった。その頃の唐沢優子は何の気兼ねもなく、しょっちゅう彼の触手を軽くつまんだり、頬をつついたりしては、恥ずかしがる相手の反応を見ていた。

彼が手を伸ばして彼女に触れたり抱きしめてきたりした時でさえ、無邪気にも面白いと感じていたくらいだ。

特に夏は、ひんやりとしていて涼を取るのにちょうどよかった。

母性愛が変質したのは、彼が自分を食べてほしい...

ログインして続きを読む