第98章

唐沢優子が戻ってくると、17号が自ら実験槽に戻っているのを見て、安堵の表情を浮かべた。彼に栄養液を注ぎながら問いかける。

「眠い?」

青年は控えめに頷き、水底に沈んで休息に入った。

数分後、デスクへ向かった飼い主のほうから、低い悲鳴が聞こえてきた。

「どうして壊れてるの、書き上げたばかりの報告書、まだ送ってないのに!」

かなり錯乱しているようだ。

彼は後ろめたさから目を閉じ、自己催眠を試みた。

唐沢優子は声もなく髪をかきむしり、やがてパソコンの接続ポートが濡れていることに気づく。まるで水をかけられたかのようだ。

「……」何が起きたのか、察しがついたらしい。

彼女...

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