第10章 私の車から降りろ

窓のない格安宿の一室。壁紙は大半が剥がれ落ち、その惨状を隠すように、ストッキングを履いたグラビアアイドルのポスターが貼られている。

シーツも布団カバーも雑に整えられただけで、皺さえ伸びきっていない。

部屋には、生理的な嫌悪感を催すような生臭い湿気が充満していた。

枕やシーツはおろか、ユニットバスの入り口に敷かれたマットからさえも、鼻をつく黴の臭いが絶えず立ち上ってくる。

速水ミオが椅子に腰を下ろすと、木枠がギシギシと悲鳴を上げた。ふと視線を落とせば、テーブルの下に使用済みのコンドームが転がっているのが見える。

吐き気を催すような劣悪な環境だ。追い詰められていなければ、絶対に足を踏み...

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