第139章 彼女もかりそめの恋

速水ミオはその考えにハッとした。

直後、胸の奥から酸っぱいものが込み上げ、喉元までせり上がってくる。

手渡された招待状はまるで焼け火箸のようで、受け取ることも、突き返すこともできずにいた。

そんなミオの葛藤などお構いなしに、芳坂りりは愛想よく満面の笑みを浮かべ、招待状をぐいと押し付けてくる。

「速水さん、まさか黒崎社長の顔を潰すようなことはしませんよね?」

速水ミオは、ドアのそばに佇む人物に横目を走らせた。

彼は彫像のように直立不動だった。その冷ややかな表情からは何の感情も読み取れず、まるでこの部屋で起きている出来事が自分とは無関係であるかのような態度だ。

「そんなわけないでし...

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