第156章 酒乱

第七章

速水ミオが階下に降りてきたとき、リビングには芳坂りりの他に、一人掛けのソファに座る烏丸達也の姿があった。

その向かいの長椅子には、黒崎統夜が赤ワインのグラスを手に、渋い顔で腰を下ろしている。

速水ミオの姿を認めるや、彼は反射的に立ち上がろうとしたが、芳坂りりに手首を掴まれ、強引に座り直させられた。

彼女は小首を傾げ、彼の肩に身を寄せると、満面の笑みで速水ミオを見やった。

「速水さん、座って」

言い終わるや否や、唇を黒崎統夜の耳元へ寄せ、囁く。

「黒崎社長、あと一歩なんですから。ここは堪えてくださいよ」

黒崎統夜は目を伏せ、長く息を吐き出した。

長い睫毛が微かに震え、...

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