第166章 自ら不快を招くな

烏丸达也が振り返るよりも早く、一つの人影が彼を追い抜き、階段を駆け上がっていった。

書斎の中——。

黒崎統夜は片手を腰に当て、ドアに背を向けて掃き出し窓の前に立っている。

ネクタイは緩められ、だらしなく首にかかっているだけだ。

シャツのボタンも二つほど外されており、首筋が赤く火照っているのが見て取れた。

足音を耳にしても、彼は振り返ろうともせず、低く沈んだ声で命じた。

「今日から、俺が承認したプロジェクトはすべて凍結しろ」

「提携している資材業者にも伝えろ。納品は当面受け付けないとな。それから……」

言いながら振り返った彼は、入り口に立つ人物を認め、瞬時に言葉を失った。

遅...

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