第199章 佐波先輩、こんにちは

速水ミオは、烏丸達也の視線を追って振り返った。

病室のドアの外に、黒崎統夜が立っていた。

漆黒のオーダーメイドスーツに身を包み、腕を組んで佇むその姿。口元は微かに綻び、細められた瞳の奥には、隠しきれない笑意が揺らめいている。彼は瞬きひとつせず、ミオをじっと見つめていた。

「く……黒崎統夜」

熱っぽい視線に射抜かれ、ミオは瞬く間に耳まで赤く染まった。胸の奥がカッと熱くなり、慌てて視線を逸らして問いかける。

「いつからそこに?」

コツ、コツ――

薄底の革靴が床を叩く、小気味よい音が響く。

長身の影がミオの目の前で止まった。彼特有の爽やかな柑橘系の香りがふわりと漂い、呼吸をするたび...

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