第227章 退いて進む

佐波秀信が黒崎進をどこへ連れ出したのか、知る者は誰もいない。

二人が黒崎家を出て、戻ってきたのは日付が変わった深夜のことだった。

翌朝、速水ミオは口実を作って黒崎進の様子を見に行ったが、彼は体調不良を理由にドアすら開けようとしなかった。

しかし速水ミオには分かっていた。ドア越しに聞こえる彼の声は平穏そのもので、病気などではないと。

昨日、佐波秀信に連れられて一体どこへ行き、何を見せられたというのだろうか。部屋に引き籠るほどのことだったのか。

彼が出てくる気がない以上、無理強いはできない。彼女は諦めて階下のダイニングへと向かった。

ダイニングに入ると、黒崎進の姿はなかったが、佐波秀...

ログインして続きを読む