第33章 1億、どうだ?

速水カノンは勝手に動こうとはせず、大きな瞳をパチクリとさせて速水ミオを見上げた。

ミオが小さく頷くのを見て、幼い彼女はようやくトコトコと歩み寄り、速水の母の首に小さな腕を回した。

速水の母は孫を抱きしめ、甘いミルクの匂いがする柔らかな首筋に顔を埋めると、声を上げて泣き崩れた。

速水カノンと速水家の関係は冷え切っているとはいえ、やはり自分の腹を痛めて産んだ娘の子だ。

娘が家庭を持ち、こうして子供を授かったことを、母親として本来なら喜ぶべきだろう。

だが、どうしても喜べなかった。

この子は、黒崎ユナにあまりにも似すぎている。

黒崎統夜がこの子を見れば速水ナナの立場を疑うだろうし、も...

ログインして続きを読む