第36章 L動く、一人で二人前

帰宅してからというもの、速水カノンは自室に閉じこもったまま出てこなかった。

食事さえも、速水ミオがわざわざ部屋まで運んでやる有様だ。

ドアを開けた瞬間、ミオの視界の端を、PCモニター特有の青白い光が過った気がした。それは瞬きする間の出来事で、あまりに速かったため、ミオは自分の見間違いだと思い込んだ。

速水カノンはまだ幼い。電子機器の使いすぎで目を悪くすることを案じたミオは、彼女にパソコンを買い与えておらず、携帯電話も機能が制限されたシンプルなものしか持たせていない。

だから、青い光などあるはずがないのだ。

「ママ」

机の影からひょっこりと顔を出し、カノンが愛らしい笑みを浮かべる。...

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