第42章 シノノメはライバルだ

社長室へ向かう道すがら、速水ミオは全身を強張らせていた。今回の内部告発の一件は自分とは無関係だと、どうやって氷室ジンに説明すべきか、そればかり考えていたからだ。

だが、社長室を出た今、手元の「機密書類」は「極秘ファイル」へと変わっていた。頭が重く、まだ状況が上手く飲み込めない。

「あら、お帰りなさい」

部署に戻るや否や、アンナが嘲るような声を上げた。

「氷室社長は信じてくれた? で、いつ辞めるの?」

速水ミオは気だるげに瞼を持ち上げて彼女を一瞥すると、邪魔だと言わんばかりに押しのけて中へ進んだ。

アンナは奥歯を噛み締め、先ほど電話で聞いた言葉を思い出すと、慌てて追いかけてミオの腕...

ログインして続きを読む