第52章 黒崎ユナはまさにリトル・エンジェル

黒崎統夜は風を切るように大股で歩き去る。

速水ミオは小走りで必死に食らいつくしかなかった。

黒崎家の別荘は、まるで古城のような威容を誇っていた。

前庭の噴水を過ぎ、迷路のように入り組んだ回廊を抜け、三階建ての本館を迂回すると、二人は裏庭にあるこぢんまりとした二階建ての離れへと辿り着いた。

建物の扉は開け放たれ、使用人たちが慌ただしく出入りしている。

黒崎統夜は中へ入るや否や、階段を三段飛ばしで駆け上がり、ピンク色を基調とした子供部屋へ飛び込んだ。

「ユナ!」

部屋の中は、速水ミオの想像を遥かに超える人だかりだった。狭い寝室を、幾重もの人垣が取り囲んでいる。

ミオは扉を入ってす...

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