第55章 派手にも程がある

第6章

「速水様」

 執事は速水ミオに対して実に丁寧な物腰だった。

「他に何かご入用のものはございませんか」

 ミオは部屋を見渡し、その行き届いた設えに満足して頷いた。

「いいえ、十分よ」

「承知いたしました。では、ごゆっくりお休みください」

 執事は一礼して下がろうとしたが、ドアの前で足を止め、言い添えた。

「速水様。裏庭にある二階建ての離れは、ナナ様の住まいとなっております。静養が必要な身ですので、お嬢様ともども、極力近づかないようにお願いいたします」

 か細く、それでいて愛らしいあの幼子の声を思い出し、ミオの胸が締め付けられた。

 カノンと同じくらいの年齢の子が、寝...

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