第99章 黒崎統夜は彼女の英雄のようだ

ドーン——

抜けるような青空に、不吉な雷鳴が轟いた。

向かい合って座っていた二人の肩が、同時にビクッと震える。

氷室は眉を寄せ、窓の外へと視線を走らせた。まさか、こんなに早く天罰が下ったわけではあるまいな、と心の中で毒づく。

速水ミオは一瞬呆気にとられていたが、我に返るとすぐさまハンドバッグを掴んで立ち上がった。

「速水さん」

氷室はその手首を掴み、行く手を阻んだ。

「どこへ行くつもりだ」

彼は無意識のうちに、黒崎利浩がいた方向へと目をやった。

先ほどまで闇の中に佇んでいた陰湿な老人の姿は、もうどこにもない。

氷室はミオの手首を掴んでいた指を、ゆっくりと緩めた。

彼は唇...

ログインして続きを読む