第6章

川島沙也加視点

高橋涼からのプロポーズから三日後。詩聖ホテルのルーフトップは、H市の名士二百人が集い、きらびやかに輝いていた。

これは私たちの公式な婚約披露パーティ――私たちの愛の物語をメディアに知らしめ、確固たるものにするための、公のショーだった。

オーダーメイドの白いイブニングドレスを直し、婚約指輪がカメラのフラッシュを浴びてきらめくのを感じた。パーティーでの石田美咲の瓜二つの指輪をめぐる混乱の後、あれはただの偶然だと自分に言い聞かせていた。今夜は、私たちのための夜なのだ。

「皆様、H市における真実の愛を体現するお二人です!」

司会者の声が響き渡り、テラス中でシャンパ...

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