私の後見人との禁断のキス

私の後見人との禁断のキス

大宮西幸 · 完結 · 21.4k 文字

743
トレンド
911
閲覧数
225
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

8年間、彼は私の大輔—私の後見人—でした。愛以外の全てを与えてくれました。私は彼の目に怒りが燃え上がるのを見たくて、わざと別の男の腕の中に身を投げ、キスをします。後見人が自分の被後見人のキスに本当に怒りで震えるでしょうか?

18歳の誕生日パーティーで、私は皆の前で「愛している」と口走りましたが、彼は「気持ち悪い」という残酷な言葉で私の8年間の想いを打ち砕きました。

3年後、私はハイヒールを履いて颯爽と戻ってきます。彼は私の上気した目を見つめ、まだ彼を愛しているのかと尋ねます。彼を愛することは本当にそんなに罪なのでしょうか?今回は、彼に押しのけられることはありません。その瞬間、3年間抑え込んできた欲望がダムが決壊するように爆発します。私は抑えられません。

「なんてことだ...絵里...」彼は息を切らし、私のシャツのボタンに手を伸ばし、手のひらが私の肌の上を滑ります。私は喘ぎ、彼に体を押し付け、熱波が私たちを丸ごと飲み込むままにします...

チャプター 1

桜井絵里視点

 深呼吸を一つ。村上拓哉の整った顔が、ゆっくりと近づいてくるのを見つめた。

「絵里、本当にいいのか?」彼の声には、わずかな躊躇いが滲んでいた。

「黙ってキスして」私の口調は、ほとんど命令に近いものだった。

 返事を待たずに、私は彼の唇に自分のそれを重ねた。

 これは私が望んだキスじゃない。けれど、通りの向こうに立つ男にはっきりと見えるくらい、本物だと信じ込ませるには十分なものでなければならなかった。私が十歳の頃から後見人である男。両親が交通事故で亡くなった後、私を引き取ってくれた男。私が「おじさん」と呼ぶべきなのに、一度もそう呼んだことのない男――高橋大輔。

 あの頃、祖母は体が弱く、海外の療養所での生活を余儀なくされており、両親を失ったばかりの十歳の少女を育てることなど到底できなかった。そして、父が最も信頼するビジネスパートナーであり、親友でもあった大輔が、私にとって唯一の選択肢となったのだ。

 八年間。この八年、彼は私に最高の生活、最高の教育、何もかも最高のものを与えてくれた。けれど同時に、一番辛い感情も――愛してはいけない人を、愛してしまったという感情を。

 刃物のように背中に突き刺さる大輔の視線を感じる。その焼けるような眼差しに、心臓が大きく跳ねた。

 拓哉のキスは不慣れで優しかったけれど、私の意識はまったく別の場所にあった。

 目を開けたまま、拓哉の肩越しにC大学の校門前の通りを見つめる。そこには黒いトヨタクラウンが静かに停まっていて、窓は開け放たれている。

 彼が見えた。

 大輔は運転席に座っていた。いつもは厳格なその顔が、今は雷雲のように暗く沈んでいる。通りの向こうからでも、彼の瞳に燃え盛る怒りがはっきりと見て取れた。

 完璧だわ。

 私はわざとキスを深くし、拓哉の首に腕まで回して、この瞬間に完全に我を忘れているかのように演じてみせた。後見人である彼に、すべてをはっきりと見せつけるために。彼がどう反応するのか、確かめるために。

 案の定、十秒も経たないうちに、聞き慣れたあの足音が聞こえてきた。

 切羽詰まった、力強い足取り。一歩一歩に、抑えきれない怒りが込められている。

「その子から手を離せ!」

 雷鳴のような怒号に、拓哉はびくりと私を解放した。振り返ると、大輔がこちらへ大股で歩いてくるところだった。その形相は、車の中にいた時よりもさらに恐ろしい。

 あの怒り、あの独占欲、あからさまな嫉妬――これこそ、私が見たかったものだ。

 普通の保護者がここまで激怒するだろうか? ただの責任対象としか見ていない相手に、こんな嫉妬を見せるだろうか?

「大輔――」私が声をかけようとした瞬間、彼は乱暴に私を自分の背後へと引き寄せた。

「彼女に二度と近づくな。後悔することになるぞ」拓哉に向けられたその声は、地獄の底から響くように低く、脅迫的だった。

 可哀想に、拓哉は顔を青ざめさせた。私と、怒り狂う大輔を交互に見て、結局何も言わずに立ち去っていった。

「車に乗れ。今すぐだ」私に向けられた低い声。その命令的な響きに、心臓がどきりと鳴った。

 でも、私はすぐには動かなかった。そこに立ち尽くし、彼を見上げる。八年間私を育ててくれたこの男――仕事での冷徹さも、部下への厳しさも見てきたけれど、これほど我を失っている姿は一度も見たことがなかった。

「車に乗れと言ったんだ」繰り返された言葉は、今度はさらに有無を言わせぬ力強さを帯びていた。

 私は大人しく彼の後についてトヨタクラウンに向かった。けれど心の奥では、祝杯をあげていた。これよ、この反応が欲しかったの!

 彼は嫉妬して、怒っている――それは、私に対する彼の気持ちが、後見人としての責任感をはるかに超えていることの、何よりの証明だわ!

 車のドアが乱暴に閉められると、密閉された空間が張り詰めた空気に満たされた。大輔を盗み見ると、ハンドルを握るその手は微かに震え、歯は固く食いしばられている。全身から、危険な気配が放たれていた。

「一体、どういうつもりだ」ついに彼が口を開いた。その声にはまだ怒りの色が残っていた。

 私は挑発的に彼を見つめる。「私、十八歳よ。誰とキスしたって勝手でしょ」

 十八歳――法律上はもう大人で、後見人も必要ない。でも私は知っていたし、願っていた。彼が決して私を手放さないことを。

「俺の保護下にあるうちはダメだ」彼の返事は即座で、ほとんど反射的だった。

 私の心は甘い気持ちで満たされる。彼の保護下?まるで所有しているみたいじゃない。大切に思ってくれているみたいじゃない。

「あのね」私は深呼吸をして、賭けに出ることにした。「私、拓哉のことなんて好きでもなんでもないの」

 大輔の体が目に見えて硬直したが、彼は私の方を向こうとはしなかった。

「私が好きなのは、まったく別の人」私は彼の横顔を見つめ、慎重に言葉を紡いだ。

 ハンドルを握る彼の手にさらに力がこもり、指の関節が白くなる。車内の空気は、息が詰まりそうなほど張り詰めていた。

「もういい」彼は突然、私の言葉を遮った。声が少し掠れている。「今夜の誕生日パーティーの準備に集中しろ」

 そう言うと、彼は気まずそうに顔を背け、もう私を見ようとしなかった。

 私は冷たい笑みを漏らした。

 いいわ、大輔。八年間、あなたは私を守るべき小さな女の子として扱ってきた。でも今夜から、私がもう大人になったことを見せてあげる。今夜の誕生日パーティーで、あなたが一生忘れられないサプライズをプレゼントしてあげるから。

 数時間後、四季ホテルの宴会場は煌々と輝いていた。

 私は深紅のイブニングドレスを纏い、鏡の前に立つ。私が意図的に選んだ色だ。彼への想いと同じ、炎のように情熱的な色。ドレスのデザインはシンプルだったが、私の体のラインを完璧に描き出していた。

 宴会場に足を踏み入れると、すぐに大輔を見つけた。彼は仕立ての良い黒のスーツに身を包み、数人の取引先と話し込んでいる。

 彼の視線が数秒間私の上を彷徨い、すぐに逸らされるのが見えた。けれど、その燃えるような眼差しは、私の全身に火をつけた。

 パーティーの間中、私はずっと彼を見ていた。他の男が私に近づくたび、彼の視線が私たちに注がれるのを感じた。私が誰かと話すたび、彼の手が固く握りしめられるのが見えた。

 この反応が、私をますます確信させる――彼は私に無関心なんかじゃない。

 パーティーが半ばに差し掛かった頃、私はついに決心した。

 宴会場の中央に進み出て、ワイングラスをそっと指で弾く。澄んだ音色に、会場の誰もが口を閉ざし、すべての視線が私に集中した。

 心臓がドラムのように鳴り響いている。でも、これが唯一のチャンスだとわかっている。今夜言わなければ、もう二度と勇気は出ないかもしれない。

「皆様、本日は私の十八歳の誕生日パーティーにお越しいただき、ありがとうございます」静まり返った宴会場に、私の声がはっきりと響いた。「皆様の多くは、私が十歳の頃からご存知で、大輔さんのもとで成長していく私を見守ってきてくださいました」

 会場を見渡すと、見慣れた顔ぶれが優しい笑みを浮かべている。彼らは皆、私の境遇を知っていて、この八年間の大輔の献身的な世話を目撃してきた人たちだ。

「十八歳になるということは、大人になるということ。自分の選択に責任を持てるようになるということです」私は深く息を吸い、大輔に視線を固定した。「ですから今夜、私はあることをお伝えしたいと思います。ずっと、ずっと長い間、心の奥底にしまい込んできたことを」

 人込みの中に立つ大輔の顔が、死人のように青ざめていく。まるで、私が何を言おうとしているのか、すでに察しているかのようだった。

 宴会場は、針一本落としても聞こえるほど静まり返っている。誰もが私の次の言葉を待っていた。

 私は大輔の瞳をまっすぐに見つめ、ありったけの力を振り絞って言った。

「愛しています、大輔さん。被後見人としてではなく、一人の女性として、一人の男性を愛しています!」

 その言葉が私の唇から離れた瞬間、宴会場全体が、死んだように静まり返った。

最新チャプター

おすすめ 😍

地獄から帰った私を、頂点の男が甘やかすなんて聞いてない

地獄から帰った私を、頂点の男が甘やかすなんて聞いてない

8.5k 閲覧数 · 連載中 · 三日月プリン
「救うのは妹の方だ。お前は強いから、生き残れるだろう」
十八年間、空気のように扱われ、誘拐事件の際にも迷わず切り捨てられた私。
「強さ」という名の言い訳で死の淵に追いやられた私は、地獄の果てで生き延びた。
そして今、全国民が見守る超人気リアリティショーの舞台に、私は「かつての復讐者」として舞い戻る。
家族が偽りの善人面を振りまく中、彼らの仮面を一枚ずつ剥ぎ取っていく最高のショウタイム。
そんな私を面白がり、盤面をひっくり返す男がいた。冷徹なるF1チャンピオン。彼だけは、私の冷酷な正義を肯定し、その権力で私を囲い込む。
さあ、復讐劇の始まりよ。私を「可哀想な犠牲者」だと思っていた報い、その身に刻ませてあげる。
転生して、家族全員に跪いて懺悔させる

転生して、家族全員に跪いて懺悔させる

342.9k 閲覧数 · 連載中 · 青凪
婚約者が浮気していたなんて、しかもその相手が私の実の妹だったなんて!
婚約者にも妹にも裏切られた私。
さらに悲惨なことに、二人は私の手足を切り落とし、舌を抜き、目の前で体を重ね、そして私を残酷に殺したのです!
骨の髄まで憎い...
しかし幸いなことに、運命の糸が絡み合い、私は蘇ったのです!
二度目の人生、今度は自分のために生き、芸能界の女王になってみせる!
復讐を果たす!
かつて私をいじめ、傷つけた者たちには、十倍の報いを受けさせてやる...
妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった

妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった

546.1k 閲覧数 · 連載中 · 蛙坂下道
鈴木七海は、中村健に好きな人がいることをずっと知っていた。それでも、彼との結婚を選んだ。
しかし、結婚して5年後、彼は離婚を切り出した。その時初めて、彼の想い人が私の父の隠し子(私の異母兄弟)だと知った。
離婚を決意した七海だったが、その時にまさかの妊娠が判明した。
お払い箱の杖は、夜に咲く

お払い箱の杖は、夜に咲く

7.1k 閲覧数 · 連載中 · 森川澪
「目が見えるようになった途端、手すりの杖を捨てるのね」

事故で盲目かつ失聴した夫を5年間、溢れる愛で献身的に支え続けた主人公。しかし、五感が戻った夫が最初に抱きしめたのは、かつて彼が愛した初恋の女だった。

家族からも夫からも裏切られた彼女は、未练を一切捨てて離婚を決意。

離婚の理由に「夫の夜の体力不足」という最大の屈辱を書き残し、結婚指輪を捨ててあっさりと家を出る。

夫の好みに合わせてこれまで隠していた「息をのむほど明艶な美貌」を解放し、夜の街へと繰り出した彼女は、一瞬で全場の視線を独占する。

バーのVIP席からその圧倒的な美女を凝視し、なぜか目が離せなくなっている元夫は、まだ気づいていない。それが、自分が「地味で退屈な女」だと見下していた元妻の真の姿だということに……
7年無視され続けた冷遇妻、離婚してトップデザイナーとして輝きます

7年無視され続けた冷遇妻、離婚してトップデザイナーとして輝きます

16.7k 閲覧数 · 連載中 · 星埜雪奈
7年間、私は家庭という暗闇の中で、ただの「便利な妻」そして「母親」として存在を消されて生きてきた。

度重なる無視と冷遇の果てに、私はついに自ら離婚協議書を突きつけた。

――エプロンを脱ぎ捨てた私は、かつて封印した己の才能を呼び覚まし、世界が称賛するトップデザイナーとして眩い光の中に返り咲く。

失って初めて、自分が何を手放したのかに気づいた大富豪の夫。
彼はプライドを破り捨て、泣きながら私に「戻ってきてくれ」と膝を折った。

だが――もう遅い。
あなたの届かない場所で、私はすでに新しい人生を歩み始めているのだから。
伝説の天才、偽りの姿だ

伝説の天才、偽りの姿だ

23.1k 閲覧数 · 連載中 · ショコラ風味
トップ組織のS級エージェントであり、冷徹無情、そして圧倒的な知性を誇った主人公。しかし、仲間に裏切られ、無残にも殺害されてしまう。

だが、目を覚ますと、知能が低いと見下されている「不細工な女子大生」へと生まれ変わっていた。

容姿を嘲笑われれば、自ら開発したスキンケアクリームで誰もが息をのむ美貌へと変貌を遂げる。

知性を馬鹿にされれば、世界最高峰の大学の総長が自らスカウトに訪れ、医学界の権威は秘密の処方を求めて跪き、国際的なトップスターは楽曲の編曲を求めて彼女を追いかける。

二度目の人生こそは平凡な生活を味わおうとしたものの、隠された正体が次々と暴かれ、気づけばまたしても世界の頂点へと上り詰めてしまう。

背後には無数の配下を従え、その傍らには彼女を守る冷徹な実力者が寄り添うが、この冷徹な男は何かと嫉妬深く、彼女を翻弄してくるのだった。
令嬢は離婚を機に大富豪への道を歩む

令嬢は離婚を機に大富豪への道を歩む

822.7k 閲覧数 · 連載中 · 蜜柑
天才陰陽師だった御影星奈は、かつて恋愛脳のどん底に落ち、愛する男のために七年もの間、辱めに耐え続けてきた。しかしついに、ある日はっと我に返る。
「瀬央千弥、離婚して」
周りの連中はこぞって彼女を嘲笑った。あの瀬央様がいなくなったら、御影星奈は惨めな人生を送るに決まっていると。
ところが実際は――
財閥の名家がこぞって彼女を賓客として招き入れ、トップ俳優や女優が熱狂的なファンに。さらに四人の、並々ならぬ経歴を持つ兄弟子たちまで現れて……。
実家の御影家は後悔し、養女を追い出してまで彼女を迎え入れようとする。
そして元夫も、悔恨の表情で彼女を見つめ、「許してくれ」と懇願してきた。
御影星奈は少し眉を上げ、冷笑いを浮かべて言った。
「今の私に、あなたたちが手が届くと思う?」
――もう、私とあなたたちは釣り合わないのよ!
間違いの刻印 息子と復讐

間違いの刻印 息子と復讐

1.8k 閲覧数 · 完結 · Abdulqudir Yusuf
カミラとキャロラインは、ムーンライト・パックの敬われる戦士団長ジャックの、瓜二つの双子の娘だ。優しく義務感の強いカミラは、アルファのマイケルと婚約し、彼のルナとなる者として選ばれていた。

一方で、大胆で向こう見ずなキャロラインは、姉妹が受ける栄誉をしばしば妬んでいた。

刻印の儀の夜、欲情に呑まれ、酒に酔いしれていたマイケルは取り違え、カミラではなくキャロラインと一夜を共にしてしまう。そして刻印は、誤ってキャロラインの身に刻まれた。

パックの誰もが、キャロラインこそが彼の真の伴侶なのだと信じた。カミラは仲間たちの前で辱めを受け――婚約は破談となり、居場所は双子の妹に奪われたのだ。

裏切られ、見捨てられたと感じたカミラは、禁じられた森へと逃げ込み、疲労と絶望に押し潰されるようにして、その場に崩れ落ちた。
舐めるつもり?なら、思い知らせてあげる

舐めるつもり?なら、思い知らせてあげる

54.8k 閲覧数 · 連載中 · 桜井 ゆい​
18年間、自分が実の娘でないとは知らずに生きてきた。ある日、荷物をすべて玄関の外に放り出され、街角に立ち尽くす私の前に現れたのは、噂では極貧だという「生家」から迎えに来た、見たこともない「兄」。

ところが、その兄が乗ってきたのはトラクターだった。

ガタガタと揺れるトラクターがたどり着いた先は、まるで古城のような大邸宅。そこで私は思い知る。本当の家族のもとに引き取られた私は、貧しくなるどころか、前よりずっと裕福になっていたのだ。

……だが、ちょっと待ってほしい。なぜ私には突然、婚約者というものが存在するのか。しかもその相手は、私の大学の教授だという。誰か、説明してくれないだろうか。
私が囲っている億万長者

私が囲っている億万長者

12.1k 閲覧数 · 連載中 · ほしの ちなつ
私はただ、心の痛みを紛らわせたかっただけ。

彼は息を呑むほど美しく、落ちぶれていた。夫の裏切りがもたらした傷が完全に癒えるまで、彼をそばに置いておくつもりだった。

お金で彼の付き添いを買い、すべてのルールを私が決め、すべてを完全に掌握しているつもりだった。

けれど、私の隣で横たわるこの男の正体は、彼が語ったものとはまるで違っていた。

魅惑的な笑顔と抗いがたい容姿の下に隠されていたのは、仇敵から身を隠す億万長者の素顔だった。

今や彼は、私の生活に、私のベッドに、そして私の心に――完全に絡みついている。

身を引くことは、彼のそばにいることよりも、もっと危険かもしれない。
全能令嬢の帰還、家族が倒産?

全能令嬢の帰還、家族が倒産?

54.2k 閲覧数 · 連載中 · きりゅう りんか
万能の女神・夏川紅蓮が実家に戻ると、一家は何者かの手で破滅に追いやられた後だった。
父は冤罪で獄中にあり、母は病に伏せっている。
六人の兄たちも、ある者は身体に障がいを負い、ある者は無気力に沈んでいた。
そんな折、家に潜り込んでいた偽令嬢は状況を見るや否や一家を見捨てて姿を消し、さらに屋敷までも奪い取ろうとしていた。
世間は夏川家を「落ち目の負け犬」と嘲笑い、皆がこぞって踏みにじる。

紅蓮が静かに一声を発すれば、暗部より無数の異能の士たちが姿を現し、形勢は一瞬にして逆転する。
父は無実のまま出所し、母は健康を取り戻し、廃人同然だった長兄は再び己の足で歩き出し、残る五人の兄たちもまた紅蓮の導きによって各々の才覚を花開かせ、やがて各界を牽引する大物へと成り上がっていく。

しかし、そんな彼女を指さして嘲る者がいる。
「夏川紅蓮は地味で野暮ったい田舎者だ」と。

何を隠そう、彼女は無数の隠された顔を持つ存在。
神医の令嬢も彼女なら、国画の大家も彼女。
伝説のハッカーも彼女なら、正体不明の謎の女優も彼女。
そして、暗部を統べる首領さえも——彼女なのだ。

そんな折、頂点に君臨する名門の若様が、彼女をそっと腕のなかに抱き寄せた。

「誰が彼女を田舎くさい地味女だと言った? 彼女こそ、俺・諏訪淳行の婚約者だ」

紅蓮が流し目をひとつ送る。

「婚約、破棄しなくていいの?」

「しない」

彼が長いあいだ追い求めてきた決して手の届かない高嶺の花こそが、いま腕のなかにいる婚約者なのだ。
解消などありえない——この婚約は、死んでも解消しない。
終末世界で異空間チート!無限備蓄で兵王様を攻略します

終末世界で異空間チート!無限備蓄で兵王様を攻略します

28.1k 閲覧数 · 連載中 · 夜明けのソラ
渡辺千咲は大学卒業後、人生のどん底に落ち、みじめな思いで故郷に戻った。ところが、幼い頃に覚醒した役立たずの空間が突然見知らぬ男に結び付けられた。

男の方は食料不足、渡辺千咲の方は金欠で、二人は意気投合して互いに協力することになった。

「俺のいる場所では、金やダイヤモンドが地面に落ちていても誰も拾わない」

渡辺千咲はそれを聞いて目を輝かせた。男のいる時空では終末が訪れ、動植物が変異し、土地は耕作不能、水源は汚染され、さらに人類の安全を脅かすゾンビがいるのだった。

中島暁は終末世界で一年間苦しみながらも生き抜き、弾薬も食料も尽きて重傷を負いながらも、最後まで信念を貫き、仲間を見捨てることを拒んだ。

「唐揚げ、肉まん、きれいな水、あなたが欲しい物資なら何でも調達してやる!」

渡辺千咲はもはやみじめではなくなった。クリスタルのエネルギーで肌が白くなり体質が改善され、眼鏡も外せるようになり、金や骨董品が手に入り続けた。

中島暁が終末世界から持ち込んだ書籍、詞曲、漫画……によって、渡辺千咲は一躍文学芸術の大家となった。

祖母や、偽善的で貪欲な親戚たちが泣きながら彼女に許しを求めた。

数年後、記者が渡辺千咲の願いを尋ねた――

「世界平和を願っています」

大げさだと思う人もいたが、後になって戦乱を平定したのも彼女、経済を発展させたのも彼女、薬剤を発明したのも彼女の部下のチーム、ウイルス爆発を救ったのも彼女だったことが分かった。

終末世界で彼女は最後の人類を率い、ゾンビに勝利し、赤い月の終末災害を乗り越えた。

彼女の願いは実現したのだった。