七年後、私を裏切った初恋の人と再会した

七年後、私を裏切った初恋の人と再会した

渡り雨 · 完結 · 14.0k 文字

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紹介

初恋の人を引き取った後、彼は「一生大事にする」と私に言ってくれた。

けれど、父が交通事故で亡くなった後、彼は私たちの新居で他の女と寝た。彼は周りの人々に、「亜由美(あゆみ)とが真実の愛で、私のことは妹としか思っていない。ずっと付きまとっていたのは彼女の方だ」と吹聴した。

私は全ての人から罵られ、母はそのショックで脳出血を起こした。そればかりか、亜由美が人を雇って車で私を撥ねさせ、片目を失明させられた。

七年後。

花束を抱えた私は、コンビニの前で彼らに出くわした。陽輝(はるき)の息子が同情的な目で私を見つめ、こう言った。

「パパ、このおばさん、片方の目がないね……お花を売ってるのかな?一束買ってあげようよ」

チャプター 1

 コンビニの店先に立ち、大きな花束を抱えたまま、私は迎えの車を待っていた。

「パパ、あのおばさん、かわいそう」

 幼い声に、私は視線を上げた。

 七、八歳くらいの男の子が、隣に立つ男の服の裾を引っ張りながら、同情に満ちた眼差しを私に向けている。

「パパ、このおばさん、片目がないよ……お花屋さんなのかな? 一つ買ってあげようよ」

 その男が振り返る。

 陽輝。

 私の初恋。

 そして、私の右目を奪った張本人。

 彼も私に気づいたようだ。かつて私が心をときめかせたその顔に驚愕が走り、やがてそれは、上から目線の憐憫へと変わった。

「真名美?」

 一歩近づき、私の眼帯を凝視する。

「本当に、お前なのか? その目……どうしたんだ?」

 私は答えない。

 陽輝は片眉を上げ、私の沈黙に不満を抱いたようだった。

 男の子はすでにポケットから小銭を取り出し、背伸びをしている。

「おばさん、このお花いくら? 僕が全部買うよ」

「売り物じゃないわ」

 私は淡々と告げた。

 陽輝の表情が複雑に歪む。彼は「お前のために言っているんだ」と言わんばかりの態度で、猫なで声を出した。

「真名美、俺の前で強がる必要はないんだぞ。俺たちの仲じゃないか。困っているなら、絶対に力になるから」

 力になる、だと。

 忘れたのだろうか。

 私をこんな姿にしたのは、他ならぬ彼自身だというのに。

 今さら憐れみを装って手を差し伸べるなんて。

 滑稽にもほどがある。

「家まで送るよ」

 陽輝は勝手にそう決めた。

 男の子もそれに同調する。

「おばさん、送ってもらいなよ。遠慮しないで。パパは世界一優しい人なんだから!」

 世界一優しい人。

 私は首を横に振る。必要ない、一人で帰れると示したつもりだった。

 それ以上関わりたくないという拒絶は明白だったはずだ。だが、陽輝には通じなかったらしい。

 彼は失望の色を浮かべ、やれやれと首を振る。

「あの時、お前が意地を張って騒ぎ立てたり、俺の助けを拒絶したりしなければ、こんなに落ちぶれることもなかったのにな」

 落ちぶれる、だと。

「問題はそこなの?」

 私は顔を上げ、残された左目で彼を射抜いた。

「私が助けを受け入れなかったから、とでも言うつもり?」

 最初から最後まで、私の真心を土足で踏みにじり、辱め、虐げ、あまつさえあの悪夢のような出来事を黙って見ていたのは、陽輝、あなたじゃない。

 陽輝の顔色が一瞬にして変わる。

 その時、耳障りなクラクションが対峙を切り裂いた。

 一台の白いセダンが私たちの横に停まり、ウィンドウが下りる。そこから覗いたのは、作り物のように整った顔立ち。

 高岩亜由美。

 陽輝の妻。

 私の恋を壊し、私をこんな目に遭わせた元凶の一人。

「真名美さん?」

 彼女の声には、驚きの色が滲んでいた。

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