守るためのもの

ヘイゼル

やっぱりね。

物事が順調に進めば「チームワーク」のおかげ、でも失敗すれば全部私のせい。

だから今、上司のオフィスで一人立たされて耳が潰れそうなくらい怒鳴られているのに、同じように責任がある同僚たちは、きっと私の窮地を笑い飛ばしているんでしょうね。

私たちが一生懸命取り組んだ仕事のチャンスは得られなかった。別の狼人が経営するデザイン会社に持っていかれたの。彼らのデザインが私たちのより優れていたとは思えないから、何が彼らに有利に働いたのかわからないけど、ジョーンズさんは激怒していて、もう20分近く顔を真っ赤にして怒鳴り散らしている。

こういう扱いには慣れているはずなのに、正直言って、何年も取るに足らない仕事しか与えられず、上司と彼女の狼人とその取り巻き連中に常に押さえつけられて、もううんざりしてきた。

一流大学を優秀な成績で卒業し、有名なインテリアデザイナーになるという大きな夢を持っていたのに、今はすべてが残酷な現実に置き換えられている。チャンスが公平に与えられず、誰もが輝く権利を持っているわけではない世界。

「なぜお前をまだ雇っているのか本当に分からない。お前は失敗者で、チームも会社も引きずり下げている。もっと責任感を持って、創造的になりなさい。ここで働いた何年間で何も学ばなかったのか、それともただ時間の無駄だったのか？」

彼は深く息を吸い込み、肩を張ると、さらに怒鳴り続ける。「クレセントムーンのアルファがまもなく大規模なコンパウンドプロジェクトについて話し合いに来る。キャロルに連絡を取るよう手配した。近づくな、邪魔をするな！彼に姿を見せるな！お前のせいでこの貴重な潜在顧客を失ったら、お前は永久にクビだ！」

ジョーンズさんがようやく説教を終え、私は一瞬で彼のオフィスを出た。狼人でもこれほど素早く出られなかったんじゃないかしら！

でも、望んでいた自分のデスクに戻るチャンスはなかった。すぐに別のオフィス、上司のオフィスに呼ばれてしまったから。彼女のオフィスへの訪問から良いことが生まれたことは一度もない。

素晴らしい、今日は最悪の日だわ！

「こんにちは、キャロル。私を探していたの？」私は彼女のデスクに向かいながら丁寧に言った。

彼女の狼人の取り巻き連中が彼女のオフィスでくつろいでいるのに気づいた。デスクの前に散らばった肘掛け椅子に座り、今や私を新鮮なポークチョップのように値踏みしている。良くない兆候だ。

「何をそんなに時間かけてたの？」キャロルは鋭く尋ね、態度に明らかな苛立ちを見せた。

「申し訳ありません、ジョーンズさんが私と話したがっていて。今ちょうど彼のオフィスから出てきたところです。」

彼女の氷のような青い目がサディスティックな喜びで輝き、口の端が上向きに曲がる。背後からモニカが大きく鼻を鳴らした。あるいはセリーナかもしれない、確かではない。

「そう、叫び声の方が正確ね。なぜ私たちが仕事を獲得できなかったか知ってる？」

私は首を横に振った。

「もちろん知らないわよね。それはあなたのせい、あなたが人間で無能だから、そしてクライアントがあなたのような役立たずを含むチームに仕事を任せたくなかったからよ。だから、ありがとう、ヘイゼル！」キャロルは嘲笑い、嘲るようにスタンディングオベーションで拍手した。

部屋の他の女性たちもこの皮肉な称賛に加わり、キャロルを真似て、私はもう少しでこの地獄のような部屋から飛び出すところだった。

キャロルの言ったことが本当なのか考えずにはいられない。私のせいで仕事を失ったの？私が人間だからって？

彼女も人間だと指摘したかったけど、私たちは同じ人間でも、これ以上離れていることはできない。彼女には力のある両親と強いコネクションがバックにあるのに対し、私には自分の努力と知恵しかない。それらは明らかに全く足りないようだ。

人間に対するこの絶え間ない差別が嫌い。確かに私たちは彼らほど速くも強くもないし、超聴力や超回復力もないけど、私たちは脳と感情を持った生き物なのに。

大学時代を思い出してぞっとする。「狼人は優れている」というたわごとを最悪の形で経験したのはそこだった。教授助手のポジションを狙って、たまたま狼人だった別の女の子と競争していたとき、彼女は勝てないと悟ると私を爪で引き裂いて殺そうとした。左腕には今でも彼女の攻撃の傷が残っている。そして一番おかしいのは、結局彼女がそのポジションを得たこと。私は1ヶ月入院しなければならなかったから。これがどれだけ公平なことだろう？

完全に不公平で、私は彼ら全員を恨んでいる。彼らは皆同じ、特権を持ち、傲慢で、自己中心的だから。

「なぜあなたがまだクビになっていないのか本当に理解できない」キャロルは私というより自分自身に言った。「とにかく、クレセントムーンパックのアルファが今日の午後、新しいプロジェクトについて話し合いに来る。彼の近くにいてほしくない。入口から、私のオフィスから、会議室から、どこからでも離れていて。できれば、家に帰って二度と戻ってこないで、そうすれば私たち全員に恩恵をもたらすわ。」

彼女の仲間たちは彼女の言葉に笑い、私をこれまで以上に不要な存在だと感じさせた。今頃慣れているはずなのに、まだ少し傷つく。

「もしあなたのせいでアルファが逃げたら、あなたの人生を生き地獄にしてやるわ。」

今回の彼女の口調は脅迫的で、明確で隠れのない脅しだった。

私は頭を下げて理解したことを伝え、立ち去ろうとした。ドアまであと2歩というところで、突然ドアが内側に開き、私にぶつかりそうになった。

木製のドアで私を傷つけようとした人物を睨みつけたが、すぐに後悔した。玄関に立っている男性は危険で怒っているように見え、良い組み合わせではない。彼は間違いなく狼人だ。彼の青い目は2つの海のような灯台のように輝き、デザイナースーツに詰め込まれた背の高いワードローブほどの大きさ。筋肉質な胸が素早く上下し、彼の動揺を示し、私の喉に恐怖が込み上げてくる。

この青い目の狼の神を怒らせるようなことをしただろうか？正直に言って、彼は完全に恐ろしいかもしれないが、客観的に見れば息をのむほどハンサムだ。興味があるわけではない、今は自分のみすぼらしい命を無事に保つことの方が心配だ。

私は素早く視線を下げ、アイコンタクトを切り、彼をさらに怒らせないことを願った。

「ドリームアーティザンズへようこそ」と私は下を向いたまま言った。

黒く輝く革靴が私たちの間の距離を埋め、突然私の顎をしっかりとつかまれ、顔を上げさせられ、目が彼の鋭い青い瞳に戻された。彼のオーラはあまりにも強烈で息苦しく、なぜ彼がこれほど怒っているのか見当もつかない。今や彼の感情が私に向けられていることは否定できない。

しかし、彼の次の言葉は私を完全に驚かせた。

「俺のもの！」彼は半ば唸り、半ば発した深いバリトンの声で、私の背筋に震えを走らせた。

私は呆然としたまま立ち尽くし、周りの人々からいくつかの息を呑む音が聞こえた。