彼が気づかなかった婚約者

彼が気づかなかった婚約者

渡り雨 · 完結 · 20.7k 文字

211
トレンド
290
閲覧数
6
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

この五年間、ヤクザの組長である夫は、あの“ぶりっ子”のために、私に九回も指輪を外させた。

最初の結婚の時、彼はこう言った。「今日から、お前は俺の女王で、東京のファーストレディだ」と。

それなのに、志織が泣きながら助けを求めるたび、彼の口調は変わる。「高坂さん(志織)は俺の命の恩人なんだ、萌美。俺はあの一家に借りがある」。

そうして、私は彼の言葉を八回も信じてしまった。

八回、赤の他人を装い、彼が別の女の手を引いて、私たちがよく行ったレストランに出入りするのを見つめた。

八回、組の者の前で「別居」は互いのための冷却期間だと説明した。

八回、あの女が私の寝室に住み着き、私の食器を使い、私のベッドで眠るのを、ただ黙って見ていた。

その結果、彼が繰り返すのは「指輪を外せ」と「指輪をつけろ」という言葉だけ。

そして九回目、彼が彼女のために精子を提供して不妊治療に協力すると言った時、私の方から別れを切り出した。

彼は、これもただ九回目の“一時停止”だと思っていて、一ヶ月もすれば私が大人しく彼の元へ戻ってくると信じきっている。でも、彼が知る由もないだろう。私がもう、ここを去るための航空券を予約したことなど。

チャプター 1

「サインして。志織にはあなたが必要なんでしょう。わかってるわ」

 私は既に署名を済ませた『第九回休戦条項』を、そっと新島充史の目の前に差し出した。

 書斎には時計の針が刻む音だけが響いている。机の上には高坂志織の診断書が広げられていた——卵巣機能の低下、ホルモン値の異常、そして早急な生殖補助医療の推奨。そのレポートの末尾には、赤ペンでこう注釈が添えられている。

『これが患者にとって、妊娠のラストチャンスである』

 充史は明らかに呆気にとられていた。

 無理もない。私が問い詰めることも、喚き散らすことも、物を叩き壊すこともなくこれに応じたのは、今回が初めてだったのだから。

「お前も……ようやく物分かりが良くなったな」

 そう言いながらペンを受け取る彼の手は、しかしどこか躊躇っていた。

 私は彼がうつむいて署名する様子を見つめていた。まるで月々の請求書を処理するかのような手慣れた動作。だが、見ていればわかる。今回ばかりはいつもと違う。その眉間の皺は深く刻まれ、何かを天秤にかけているようだった。

 この五年間、志織への過度な肩入れを私が疑うたび、彼は決まってあの決まり文句を持ち出した。「俺は高坂家に恩があるんだ」と。

 そして今、その『恩』が彼に求めている対価は、子供だった。

 書類を閉じると、充史はこれまでに八回繰り返してきた台詞を癖のように口にした。

「一ヶ月だ。志織の治療が成功すれば、また盟約に戻る。その時は俺の手で、お前の指に結婚指輪を戻してやる」

 以前の私なら、詳細を追及し、保証を求め、念書まで書かせていたことだろう。

 けれど今回は、心の凪があまりにも深く、言い返す気力さえ湧いてこなかった。

「萌美」

 彼は語気を強めた。

「俺の話を聞いているのか?」

 私はただ視線を伏せ、書類にある自分の署名を眺めたまま答えた。

「ええ、聞いてるわ」

 充史が盟約を戻すと言えば、必ずそうなる。東京の裏社会において、彼の言葉は法そのものだからだ。

 私たちの結婚は、そもそも夫婦関係というより、二大組織が交わしたビジネス上の契約に近かった。ただ、この契約には一つの例外条項が存在する——志織に関わる事態が発生した場合、一時的に執行を停止できる、というものだ。

 五年間で、私は八回の『休戦』に署名し、彼が彼女を『救済』する様を八回目撃してきた。

 盟約を結んだあの日、彼は私の手を握りしめてこう言ったのを覚えている。

「盟約期間中、俺は君だけのものだ」

 確かに、彼はそれを守り通している。

 休戦期間中であれば、彼が誰といようと裏切りにはならない。そして私は、いつでも都合よく『一時停止』される妻に過ぎないのだ。

 ウォークインクローゼットを開ける。荷造りはとうに済ませてある。いつでも出て行けるように。

 私がスーツケースを確認する様子を見て、充史の表情が奇妙に歪んだ。前回、私はここで鏡を一面粉々に叩き割り、その破片が彼の肩に突き刺さった。前々回はシーツに火を放ち、屋敷全体を燃やしかけたこともある。

 だが今回は、ただ静かにファスナーを閉めただけだった。

「それとも……今回は俺が都心のマンションに移ろうか? お前はここに残ればいい」

 探るような声色だった。

 彼が何を待っているのかはわかっていた。私の顔を覗き込み、感情の揺らぎ——怒りでも、悲嘆でもいい——を捉えようとしているのだ。この死のような静寂よりはマシだから。

 私は顔も上げずに答えた。

「いいえ。数日、美穂の別荘に行くから」

 『美穂』という名を聞いた瞬間、充史の表情が陰った。

「また妹のところか?」

 彼は一歩踏み出し、声を潜めつつも鋭く言い放つ。

「前回みたいに、志織にワインをぶっかけろとでも唆すつもりか? それとも前々回のように、俺たちを尾行させて『証拠』写真を撮らせる気か?」

 私は荷物の整理を続け、何も答えなかった。

 だが、彼は止まらない。

「萌美、お前も自分の人生を持ったらどうだ? この五年間、お前の生きる意味といえば俺を監視し、志織を陥れ、俺と周囲の人間を引き裂くことだけじゃないか」

 そのあまりに堂々とした態度を見て、私は彼が苛立ち紛れに放った非難の裏にある本音を瞬時に悟った——『俺と志織に近づくな』ということだ。

 彼はただ、邪魔されたくないのだ。

 この一ヶ月、志織の治療に専念するために、私という『一時停止中の妻』に場を荒らされたくないだけ。

 もっとも今回に限っては、充史のその懸念はまったくの杞憂に過ぎないのだけれど。

最新チャプター

おすすめ 😍

追放された偽令嬢、実は超財閥の真の令嬢

追放された偽令嬢、実は超財閥の真の令嬢

167.4k 閲覧数 · 連載中 · あざ鳥
「お前みたいな偽物の令嬢、さっさと山奥に帰れ!」

孤児だと判明した途端、彼女は養父母から冷酷に家を追い出され、婚約者も本物の令嬢へと乗り換えた。
彼らは、彼女がこれからド田舎で悲惨な生活を送るのだとあざ笑っていた。

しかし、彼女を迎えに来た実の家族は、なんと世界を牛耳る超巨大財閥の一族だった!
さらに、彼女自身もただの小娘ではない。その正体は、世界の医学界が平伏す伝説の天才医師だったのだ。

実家に戻るや否や、彼女は神業のようなメス捌きで次々と難病患者を救い、医療界の権威たちを圧倒していく。その圧倒的な実力に、誰もが恐れる冷酷なトップ御曹司でさえも彼女に惹かれ、無限額のブラックカードを差し出す始末。

一方、彼女を追い出した養父母の家業は倒産寸前に陥り、元婚約者も彼女の本当の姿を知って絶望の淵に立たされていた。
彼らが泣きついて許しを乞うても、彼女は冷たく言い放つ。

「今さら後悔しても、もう遅いわ」
転生して、家族全員に跪いて懺悔させる

転生して、家族全員に跪いて懺悔させる

342.2k 閲覧数 · 連載中 · 青凪
婚約者が浮気していたなんて、しかもその相手が私の実の妹だったなんて!
婚約者にも妹にも裏切られた私。
さらに悲惨なことに、二人は私の手足を切り落とし、舌を抜き、目の前で体を重ね、そして私を残酷に殺したのです!
骨の髄まで憎い...
しかし幸いなことに、運命の糸が絡み合い、私は蘇ったのです!
二度目の人生、今度は自分のために生き、芸能界の女王になってみせる!
復讐を果たす!
かつて私をいじめ、傷つけた者たちには、十倍の報いを受けさせてやる...
隠された天才:裏の顔が多すぎて、気づけば世界のトップを震撼させていた件

隠された天才:裏の顔が多すぎて、気づけば世界のトップを震撼させていた件

31.9k 閲覧数 · 連載中 · たけの
私の名前は江川莉奈。

育ての親の一家に家を追い出されたあの日、私は微笑みを浮かべながら、奴らが施しとしてよこした金をゴミ箱へと投げ捨てた。

誰も想像すらできないだろう。この私が、数々の名門貴族や権力者たちが大金を積んで列をなし、首を長くして診察を待つ伝説の名医——【暁】だなんて。

私が時価総額数十億ドルのファッション帝国を裏で支配していることも、ウォール街の株価をたった一回の取引で大暴落させられることも、誰も知らない。私はその正体を、この平凡で冴えない素顔の裏にすべて隠し持っていた。

さらに劇的なことに、私の実の親はこの街で頂点に君臨する最高峰の大富豪だった。

そして私の婚約者——すでに顔を合わせているにもかかわらず、その正体を知らなかったあの男こそ、この街の誰もが名前を聞くだけで震え上がる、ビジネス界の冷酷な死神:梅原晴琉だったのだ。

ある日、彼は私の手を執り、ゆっくりと距離を詰めると、耳元で低く囁いた。

「俺のこの鼓動、今なら感じられるか?」

私は至って真面目な顔で彼の胸に手を当て、大真面目にこう返した。

「心拍数は確かに少し高めですが、非常に健康的です。心配ありませんよ」

彼は一瞬呆気にとられ、それからふっと吹き出した。その瞬間の彼の笑顔に、私の心臓もなぜかドクンと跳ねた。それは、自分自身でも説明のつかない初めての衝動だった。

だが、彼が私の真実に一歩ずつ近づくにつれ……私の心は揺らぎ始めている。自分の最後の秘密を、あとどれくらい隠し通せるのだろうか。

外されるはずのなかった仮面——。だが、あの人が執拗にその霧を剥ぎ取ろうとするとき、私は一体どこへ向かえばいいのだろう?
追放された偽物の娘、その正体は最強でした

追放された偽物の娘、その正体は最強でした

850.2k 閲覧数 · 連載中 · ゲゲゲ
「本物の娘が見つかった。お前はもう用済みだ」
あの子が現れたその日、私は『偽物の娘』として家を追い出された。
渡されたのは、わずかな小銭と地方行きの片道切符だけ。
さらに婚約者は私をゴミのように捨て、その日のうちに『本物』であるあの子にプロポーズした。

……上等じゃない。せいぜい勝った気でいればいいわ。
だって彼らは、私の【本当の顔】を何一つ知らないのだから。

名門病院が見放した命を救う『天才外科医』。
オークションで数億円の値を叩き出す『伝説の画家』。
裏社会の闘技場で無敗を誇る『影の女王』。
そして――彼らの全財産すら小銭に思えるほどの『真の巨大財閥の後継者』であることを。

今さら元婚約者が土下座で許しを請おうと、本物の娘が嫉妬で狂いそうになろうと、もう遅い。
かつて私に婚約破棄の書類を叩きつけた冷酷で傲慢なCEOでさえ、今や何かに取り憑かれたように私を追い回し、「もう一度だけチャンスをくれ」とすがりついてくる始末。

私を捨てて、自分たちの人生を『アップグレード』したつもり?
笑わせないで。最初から、圧倒的に上の存在だったのは私のほうよ。
藤原社長の華麗な元妻

藤原社長の華麗な元妻

44.1k 閲覧数 · 連載中 · 文机硯
実は離婚も悪いことばかりではありません。
私のように、離婚後に実家に帰って億万の財産を相続できるのですから!
そして、まさにその億万の財産を相続しようとしたとき、厚かましい前夫がまた現れて、土下座して復縁を懇願してきたのです…
間違いの刻印 息子と復讐

間違いの刻印 息子と復讐

1.8k 閲覧数 · 完結 · Abdulqudir Yusuf
カミラとキャロラインは、ムーンライト・パックの敬われる戦士団長ジャックの、瓜二つの双子の娘だ。優しく義務感の強いカミラは、アルファのマイケルと婚約し、彼のルナとなる者として選ばれていた。

一方で、大胆で向こう見ずなキャロラインは、姉妹が受ける栄誉をしばしば妬んでいた。

刻印の儀の夜、欲情に呑まれ、酒に酔いしれていたマイケルは取り違え、カミラではなくキャロラインと一夜を共にしてしまう。そして刻印は、誤ってキャロラインの身に刻まれた。

パックの誰もが、キャロラインこそが彼の真の伴侶なのだと信じた。カミラは仲間たちの前で辱めを受け――婚約は破談となり、居場所は双子の妹に奪われたのだ。

裏切られ、見捨てられたと感じたカミラは、禁じられた森へと逃げ込み、疲労と絶望に押し潰されるようにして、その場に崩れ落ちた。
地獄から帰った私を、頂点の男が甘やかすなんて聞いてない

地獄から帰った私を、頂点の男が甘やかすなんて聞いてない

7.7k 閲覧数 · 連載中 · 三日月プリン
「救うのは妹の方だ。お前は強いから、生き残れるだろう」
十八年間、空気のように扱われ、誘拐事件の際にも迷わず切り捨てられた私。
「強さ」という名の言い訳で死の淵に追いやられた私は、地獄の果てで生き延びた。
そして今、全国民が見守る超人気リアリティショーの舞台に、私は「かつての復讐者」として舞い戻る。
家族が偽りの善人面を振りまく中、彼らの仮面を一枚ずつ剥ぎ取っていく最高のショウタイム。
そんな私を面白がり、盤面をひっくり返す男がいた。冷徹なるF1チャンピオン。彼だけは、私の冷酷な正義を肯定し、その権力で私を囲い込む。
さあ、復讐劇の始まりよ。私を「可哀想な犠牲者」だと思っていた報い、その身に刻ませてあげる。
不倫夫を捨て、私は大富豪の妻になる

不倫夫を捨て、私は大富豪の妻になる

372.2k 閲覧数 · 連載中 · 七海
人生最良の日になるはずだった、結婚式当日。
新郎の車から出てきたのは、見知らぬ女の派手なレースの下着だった。

しかも、その布切れにはまだ。生々しい情事の痕跡が残されていた。

吐き気がするほどの裏切り。
幸せの絶頂から地獄へと突き落とされた私。

けれど、泣き寝入りなんてしてやらない。
私はその場でウェディングドレスの裾を翻し、決意した。

「こんな汚らわしい男は捨ててやる」

私が選んだ次の相手は、彼など足元にも及ばない世界的な億万長者で?
全能令嬢の帰還、家族が倒産?

全能令嬢の帰還、家族が倒産?

51k 閲覧数 · 連載中 · きりゅう りんか
万能の女神・夏川紅蓮が実家に戻ると、一家は何者かの手で破滅に追いやられた後だった。
父は冤罪で獄中にあり、母は病に伏せっている。
六人の兄たちも、ある者は身体に障がいを負い、ある者は無気力に沈んでいた。
そんな折、家に潜り込んでいた偽令嬢は状況を見るや否や一家を見捨てて姿を消し、さらに屋敷までも奪い取ろうとしていた。
世間は夏川家を「落ち目の負け犬」と嘲笑い、皆がこぞって踏みにじる。

紅蓮が静かに一声を発すれば、暗部より無数の異能の士たちが姿を現し、形勢は一瞬にして逆転する。
父は無実のまま出所し、母は健康を取り戻し、廃人同然だった長兄は再び己の足で歩き出し、残る五人の兄たちもまた紅蓮の導きによって各々の才覚を花開かせ、やがて各界を牽引する大物へと成り上がっていく。

しかし、そんな彼女を指さして嘲る者がいる。
「夏川紅蓮は地味で野暮ったい田舎者だ」と。

何を隠そう、彼女は無数の隠された顔を持つ存在。
神医の令嬢も彼女なら、国画の大家も彼女。
伝説のハッカーも彼女なら、正体不明の謎の女優も彼女。
そして、暗部を統べる首領さえも——彼女なのだ。

そんな折、頂点に君臨する名門の若様が、彼女をそっと腕のなかに抱き寄せた。

「誰が彼女を田舎くさい地味女だと言った? 彼女こそ、俺・諏訪淳行の婚約者だ」

紅蓮が流し目をひとつ送る。

「婚約、破棄しなくていいの?」

「しない」

彼が長いあいだ追い求めてきた決して手の届かない高嶺の花こそが、いま腕のなかにいる婚約者なのだ。
解消などありえない——この婚約は、死んでも解消しない。
溺愛令嬢の正体は、まさかの霊能界トップ!?

溺愛令嬢の正体は、まさかの霊能界トップ!?

328.3k 閲覧数 · 連載中 · 朝霧祈
原口家に取り違えられた本物のお嬢様・原田麻友は、ようやく本家の原田家に戻された。
──が、彼女は社交界に背を向け、「配信者」として自由気ままに活動を始める。
江城市の上流社会はこぞって彼女の失敗を待ち構えていた。
だが、待てど暮らせど笑い話は聞こえてこない。
代わりに、次々と大物たちが彼女の配信に押しかけてくるのだった。
「マスター、俺の命を救ってくれ!」──某財閥の若社長
「マスター、厄介な女運を断ち切って!」──人気俳優
「マスター、研究所の風水を見てほしい!」──天才科学者
そして、ひときわ怪しい声が囁く。
「……まゆ、俺の嫁だろ? ギュってさせろ。」
視聴者たち:「なんであの人だけ扱いが違うの!?」
原田麻友:「……私も知りたいわ。」
死んだはずの妻が、自分と「瓜二つ」の双子を連れて帰ってきた

死んだはずの妻が、自分と「瓜二つ」の双子を連れて帰ってきた

196k 閲覧数 · 連載中 · 白石
5年前、身に覚えのない罪で投獄され、身重の体で捨てられた私。
異国の地で必死に生き抜き、女手一つで双子の息子を育て上げた。

平穏を求めて帰国した私だったが、運命は残酷だ。
かつて私を捨てた元夫・ベンジャミンに見つかってしまったのだ。

「その子供たち……俺にそっくりじゃないか」

彼の目の前にいるのは、彼を縮小したかのような「生き写し」の双子。
ベンジャミンは驚愕し、私たちを引き留めようとする。
しかし、息子たちは冷酷な父親を敵視し、断固として拒絶するのだった。

「僕たちを捨てた男なんて、父親じゃない!」

やがて明らかになる、あの日の「火事」の真相と、悪女オリビアの卑劣な罠。
すべての誤解が解けた時、彼が差し出す愛を、私は受け入れることができるのか?

憎しみと、消え残る愛の間で揺れる、会と許しの物語。
伝説の天才、偽りの姿だ

伝説の天才、偽りの姿だ

22.1k 閲覧数 · 連載中 · ショコラ風味
トップ組織のS級エージェントであり、冷徹無情、そして圧倒的な知性を誇った主人公。しかし、仲間に裏切られ、無残にも殺害されてしまう。

だが、目を覚ますと、知能が低いと見下されている「不細工な女子大生」へと生まれ変わっていた。

容姿を嘲笑われれば、自ら開発したスキンケアクリームで誰もが息をのむ美貌へと変貌を遂げる。

知性を馬鹿にされれば、世界最高峰の大学の総長が自らスカウトに訪れ、医学界の権威は秘密の処方を求めて跪き、国際的なトップスターは楽曲の編曲を求めて彼女を追いかける。

二度目の人生こそは平凡な生活を味わおうとしたものの、隠された正体が次々と暴かれ、気づけばまたしても世界の頂点へと上り詰めてしまう。

背後には無数の配下を従え、その傍らには彼女を守る冷徹な実力者が寄り添うが、この冷徹な男は何かと嫉妬深く、彼女を翻弄してくるのだった。