紹介
付き合って六年目の記念日——五十二回目の試みの夜——彼はまた私を、ディナーテーブルという祭壇に置き去りにした。彼からの謝罪?私のテーブルに届けられた一杯のストロベリーシャンパン。それは彼女の好きな飲み物だった。私にとっては、アナフィラキシーを引き起こす毒だった。
ピンク色の泡を見つめながら、愛はついに死んだ。
私は携帯を手に取り、六年間使っていなかった番号にかけた。
「ジェットを手配して」私は言った。「庶民ごっこは終わり」
数週間後、翔太は膝をつき、傾きかけた会社を救ってくれるよう、伝説の神崎財閥の令嬢に懇願していた。その時、恐怖が彼を襲った。
自分を見下ろす近寄りがたい女王は、彼が置き去りにした「従順な」あの娘と同一人物だったのだ。
私は新しい婚約者の腕をしっかりと掴み、翔太に冷たい微笑みを向けた。
「冴島さん、あなたの愛はいつも安っぽかった。でも後悔?それはもう、あなたには手の届かない贅沢品よ」
チャプター 1
過去六年間で、私と彼氏の冴島翔太は、五十一回にも及ぶプロポーズの失敗を経験してきた。五十一回。そのたびに彼は、別の女のために途中で計画を放棄してきたのだ。
「本当に哀れよね。見てよ、あの格好」
給仕用ステーションから、そんな囁き声が漂ってきた。それは声を潜めたプロフェッショナルなものだったが、客のいない静まり返ったダイニングルームでは、まるで叫び声のように私の耳に突き刺さった。
今日は、五十二回目の挑戦の日だった。
私は、だだっ広いホールの中心でたった一人座っていた。もはや自分が単なる笑い話のオチだとしか思えなかった。まるで公開処刑の見世物になったような気分だ。羞恥心が、液状の炎のように私の血管を焼き尽くしていく。
今夜のために――半年前、翔太が友人たちの前で厳かに約束したプロポーズのために――私は「あのドレス」を着ていた。彼と結婚する時のためにと、六年前に私自身がデザインした白いシルクのガウンだ。無慈悲なダウンライトの下では、それはもはやウェディングドレスではなく、ただのコスプレ衣装のように見えた。
店員が再び私のテーブルの横を通り過ぎた。まるで私の不運が伝染するのを恐れるかのように、目を逸らしながら。「お客様、料理長が厨房を閉めようとしておりますが……お連れ様は、まだいらっしゃいますでしょうか?」
「もう少しだけ……」私は指の関節が白くなるほどナプキンを握りしめ、かろうじて聞き取れるほどの声で、自己欺瞞の呪文を唱えた。「今日は私たちの、六年目の記念日なの。きっと、ただ渋滞に巻き込まれているだけだわ」
その言い訳は条件反射だった。翔太に待ちぼうけを食わされたことなど、私自身でさえとうの昔に数え切れないほどだ。けれど、こんな白々しい嘘をついたところで、彼が何もない空中に魔法のように現れるわけがない。
ついには最後の客も席を立ち、周囲のざわめきは消え失せた。残された音と言えば、遠くで銀食器を磨く微かな金属音だけだった。
時計が十時を打った。レストランは空虚な空気に包まれ、閉店時間という残酷な現実を突きつけてくる。私は胃の痙攣をこらえながら、震える息を吸い込み、暗記している番号にダイヤルした。
電話はすぐに繋がった。呼び出し音は鳴らず、マイクに布が擦れるガサガサという音だけが聞こえてくる――ポケットの中での誤発信だ。
そして、一晩中私の胃をかき回し続けていた「あの声」が、ひどく鮮明に聞こえてきた。
「痛ぁい……翔太ぁ、しみるよぉ……切っちゃったみたい……」
結衣だ。その声には、吐き気を催すほど甘ったるく、鼻にかかったような泣き言がまとわりついていた。
ほんの一瞬遅れて、翔太の声が響いた――温かく、なだめるような声。私が凍えながら二時間待ち続けても決して得られなかった、そんな優しさに満ちた声だった。
「しーっ、動かないで。フーフーしてあげるから。ほんの小さな切り傷だよ、よしよし。すぐに痛くなくなるからね」
あまりの馬鹿馬鹿しさに、私はまるで物理的に殴られたかのような衝撃を覚えた。指の感覚がなくなるほど、スマートフォンを握りしめる。私は受話器に向かって、干からびた声で絞り出した。「翔太?」
電話の向こうの優しさは、一瞬にして消え失せた。
「絵梨奈?」翔太の口調は、あの聞き慣れた、苛立ちを含んだ周波数へと切り替わった。「なんで電話してきて急かすんだよ? 結衣が果物を切ってて手を怪我しちゃったんだ。今、手当てを手伝ってるところなんだよ。もうちょっと大人になれないのか? 俺だって息抜きが必要なんだよ」
「大人」。その言葉は、まるで灰のように苦く口の中に広がった。私は暗い窓ガラスに映る自分の姿を見つめた――ウェディングドレスを着た亡霊だ。「私はレストラン『雅』であなたを待っているのよ。今夜は、あなたがプロポーズする日でしょう。来るの、来ないの?」
「だから向かってるって言ってるだろ! 責め立てるなよ、わかったか? とにかく待ってろ!」
通話が切れた。
私はスマートフォンを下ろした。これが最後だ、と私は静かな心の中で自分自身に宣告した。もし今夜、あの指輪が私の指にはまらなかったら、この六年間続いた一人芝居は正式に幕を下ろすのだ。
二十分後、店の責任者が丁重に退出を促そうと近づいてきたその時、重厚な観音開きのドアが勢いよく開かれた。
冷たい風を巻き込みながら、翔太が駆け込んできた。ネクタイは曲がり、袖口にはファンデーションと思しき怪しげな汚れがついていたが、血相を変えて飛び込んできた彼の足取りは、私を見た途端にピタリと止まった。
その瞬間、彼の目に本物の感嘆の光がよぎるのが見えた。
「本当にごめん、絵梨奈」彼は大股で近づきながら言った。声に滲んでいた苛立ちは、安堵と疲労へと溶けていた。「でも、結衣がどれだけ脆い子か知ってるだろう。君は違う――君はあの子より強い。昔から手がかからないしね。君ならこれくらいのちょっとしたトラブル、わかってくれるって信じてたよ……でもほら、ちゃんと来たじゃないか」
彼はテーブルにたどり着いたが、席には座らなかった。その代わり、彼の手は真っ直ぐにジャケットのポケットへと伸びた。
喉の奥で息が詰まった。
彼の掌の上に、ネイビーブルーのベルベットの箱が現れたのだ。
翔太は片膝をついた。残っていた数人のスタッフから、小さく息を呑む声が漏れる。
「絵梨奈」彼は私を見上げた。その瞳は、三十分前の電話が幻だったのではないかと思わせるほどの誠実さに輝いていた。「この六年間……君には本当に苦労をかけた。たくさん我慢もさせただろうけど、今夜、君に帰る場所を贈りたいんだ」
目頭が熱くなった。瞬く間に涙が込み上げてくる。この関係は穴だらけで破綻していると理性が叫んでいたにもかかわらず、「改心した不良」という愚かなファンタジーが、まさにその瞬間、最高潮に達してしまったのだ。
これこそが、私の望んでいたものだったのではないか?
私は震える右手を伸ばし、六年遅れの約束を受け入れようとした。
指先が、ベルベットの箱まであと数センチというところまで近づいた。
――プルルルルッ。プルルルルッ。
耳障りなビデオ通話の着信音が、まるでキャンバスを引き裂くナイフのように、その場の空気を粉々に打ち砕いた。
翔太の表情が崩れ落ちた。深い愛情は一瞬にしてパニックへとすり替わる。彼は弾かれたバネのように床から飛び起き、スマートフォンの画面をタップした。
「翔太ぁ! 私がどこにいるかわかる!? 風がすっごく強いよぉ……」結衣のヒステリックな金切り声が、静まり返ったレストランに響き渡る。「戻ってきてくれないなら、ここから飛び降りてやる! 一生後悔させてやるんだから!」
「結衣! やめろ! 大丈夫だから! 絶対に動くんじゃないぞ!」
パタン。
私の指が指輪に触れる一秒前、翔太は勢いよく箱を閉じた。そして、その青い箱を乱暴にポケットへと押し込んだのだ。
彼はすでに後ずさりを始めていた。早口で言葉をまくし立てながら、その目は出口に釘付けになっている。「俺が行かないと、あいつ本当に飛び降りちまう! 屋上の縁が見えたんだ! 絵梨奈、結衣が不安定なのは知ってるだろ! プロポーズなんてただの形式だ、指輪は見たよな――明日! 誓うよ、明日必ず埋め合わせをするから!」
「翔太……」
私の手は宙に浮いたまま凍りついていた。幸せを受け入れる準備ができた女のポーズのまま。まるで彫像のようだった。滑稽で、見捨てられた彫像。
彼は私の手を見なかった。ただの一度も。
踵を返し、ドアへ向かって全力で駆け出していく。まるで世界を救うために急行する孤独なヒーローのような決意を漂わせながら。いわゆる「最愛の女」を、ウェディングドレス姿のままステージの中央に置き去りにして。
ドアのところで、ほんの微かな罪悪感でも誤魔化そうとしたのか、彼は急ブレーキをかけて立ち止まり、遠くにいるソムリエに向かって叫んだ。
「このお嬢さんに、彼女の大好きなストロベリー・シャンパンを一杯出してやってくれ! ツケでいい! 元気づけてやってくれよ!」
重厚なレストランのドアが、彼の背後で鈍い音を立てて閉ざされた。それはまるで、私のこの六年間という裁判に終止符を打つ、裁判長の木槌の音のように響いた。
数分後、店員が手慣れた同情的な笑みを浮かべて近づき、ピンク色の液体の入ったフルートグラスをテーブルに置いた。グラスの中で泡が陽気に踊り、鼻をつくような甘ったるい香りを放っている。
ストロベリー・シャンパン。
私はグラスを見つめ、吹き出したように笑い声を上げた。同時に、頬を静かに涙が伝い落ちていく。
私たちは二千夜以上もベッドを共にしてきた。彼は、結衣が高所恐怖症で暗闇を怖がることは覚えている。それなのに、私が重度のイチゴアレルギーであることは覚えていなかったのだ。一口飲めば、アナフィラキシーショックを引き起こしかねないというのに。
ストロベリー・シャンパンは、結衣の好物だ。
永遠を誓うはずだったこの夜に、彼が最後に私に残していったものは、私を殺す可能性のある一杯の毒だった。それも、別の女の好物というレッテルが貼られた毒を。
「お客様、お飲み物でございます」店員が優しく声をかけてきた。
「いらないわ」
私は立ち上がった。空になった席を振り返ることはしなかった。
クラッチバッグの隠しポケットを開け、スマートフォンを取り出すと、六年間眠らせていた番号にダイヤルする。
呼び出し音が一度鳴っただけで、電話はすぐに出られた。電話の向こうの声は、抑えきれない興奮と信じられないといった様子で震えている。「絵梨奈お嬢様?」
「私よ。明後日、実家に帰ると兄様に伝えて」私は電話口で言った。その声は平坦で、一切の感情が削ぎ落とされていた。
「プライベートジェットの手配をお願い。それから、必ずあなたが迎えに来てちょうだい」
私は言葉を区切り、レストランの豪奢で作り物めいたロマンスを冷たい視線で見渡すと、口角を鋭く吊り上げ、冷笑を浮かべた。
「庶民ごっこは、もうおしまいよ」
最新チャプター
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「しない」
彼が長いあいだ追い求めてきた決して手の届かない高嶺の花こそが、いま腕のなかにいる婚約者なのだ。
解消などありえない——この婚約は、死んでも解消しない。













