紹介
でも、義母からの電話一本で全てが変わった。義姉と双子の甥っ子たちも加わって、出発当日の朝、キャンピングカーは家族でいっぱい。私の席は買い物袋の山に埋もれていた。
「君は家にいた方がいいんじゃない?」夫は申し訳なさそうに笑って言った。「誰かが家を見ていないといけないし、母さんのバラに水やりも必要だから」
だから私は残った。笑顔で手を振って、彼らを見送った。
そして私は「運転禁止」だった彼の高級車のキーを握りしめ、海辺のリゾートで一番高いオーシャンビュースイートを予約した。
これが、私だけの完璧な旅行の始まりだった。
チャプター 1
美智視点
「え?お母さんがロードトリップに一緒に行きたいって?真!これ、私たちの五回目の結婚記念日なのよ!」
自分でも思ったよりずっと棘のある言葉が出てしまったけれど、どうでもよかった。玄関に突っ立ったままスマートフォンを手にしている夫をただ見つめていると、胸の内で白熱するような怒りがこみ上げてくるのが分かった。
一時間前、私はまさにこのノートパソコンの前に座って、完璧な計画を立て終えた時のあの最高の気分に浸りながら、最後のチェックリストを確認していた。鷲原公園の予約は万全。ハイキングコースの地図も作った。ベビーシューズを入れた小さなギフトボックスもスーツケースに隠した。赤ちゃんを授かってもいいって伝えた時の、真の反応を思い描きながら。
一時間前の私は、天にも昇る気持ちだった。
でも、今は?まるで氷みたいに冷たい水を頭から浴びせられた気分だった。
真と私は大学時代からの付き合いだ。大学一年生の、誰も出たがらない経済学の講義で出会い、朝八時の授業が嫌いという共通点で意気投合して、それからずっと一緒だった。卒業してすぐに結婚した。若くて、馬鹿で、二人なら世界だって手に入れられると信じ込んでいた。
十八歳になった時、両親が私のために信託基金を用意してくれた。もしもの時に私を支えてくれる、セーフティネットになるはずのものだった。けれど、真が事業のアイデアを携えて私のところへ来た時。その目は可能性に輝き、ナプキンに利益率を走り書きしていた。私は何の迷いもなくそれを現金化した。
「一緒にすごいものを作り上げよう」彼はそう言って、私を腕の中に引き寄せた。「約束するよ、美智。この会社を大きくして、欲しいもの全部手に入れよう」
それが五年前。五年もの間、「私たちの」ものであるはずだった会社に、私のすべてを注ぎ込んだ。でも、いつの間にか会社を管理するのは私の役目になり、真は自分の役割を見つけあぐねていた。子どもについての話し合いも、「今は会社が僕たちを必要としている」「もっと安定したら」「あと一年だけ」という言葉で先延ばしにされ続けた五年。
でも、私たちはもう安定していた。会社は利益を上げていた。銀行口座の残高も十分。そして来週は私たちの五回目の結婚記念日。ずっと我慢してきた人生を、ついに前に進める絶好のタイミングだった。
この旅行の計画を始めたのは一か月前。私たち二人きりで、どこまでも続く道を行く。会社に生活を食いつぶされる前の、あの頃のような自由だけを味わう一週間。キャンプ場やハイキングコースを調べ、お互いの好きなおやつを詰め、完璧な旅にしたくてキャンプ用品まで新調した。
そして、あのベビーシューズを買った。柔らかい白い革でできていて、手のひらに収まるほど小さい。星空の下でこれを真に渡して、もう準備ができたと伝えるつもりだった。私たちの準備が、できたのだと。
しかし、その時、彼に電話がかかってきたのだ。
「なあ、母さんから電話があったんだ」
旅程の最終確認をしていたノートパソコンから顔を上げると、真がリビングの戸口に立っていた。まだスマートフォンを手に握ったまま、あの申し訳なさそうな笑顔を浮かべて。彼がすでに決断を下していて、私がそれを受け入れるのを待っているだけの時の、あの笑顔だ。
「しばらく会ってないから、鷲原公園に一緒に行きたいって」
キーボードを叩いていた指が止まった。「何ですって?冗談でしょ?私たちの記念旅行にお母さんがついてきたいって言うの?」
「ああ、母さんのことだから分かるだろ」彼は歩み寄って、私の椅子の肘掛けに腰掛けた。「父が亡くなってから寂しがってるし、たった一週間じゃないか」
胸が締め付けられるのを感じた。これは私たちの旅行のはずだった。一ヶ月も前から計画して、ずっと楽しみにしていた旅行。
「真、これは私たちの五回目の結婚記念旅行なのよ。二人きりで行こうって話したじゃない」
「分かってる。でも、家族だから」彼は私の肩をぎゅっと握った。「それに、キャンピングカーは大きいだろ。みんなが乗るには十分なスペースがあるさ」
お義母さんの理奈が関わる時、十分なスペースなんてあったためしがない。彼女は、まるで人が空気を吸うように、ごく自然に、他の誰かがそれを必要としているかなんて考えもせずに、空間を独占するのだ。
苦々しい響きにならない返事を考える前に、彼のスマートフォンが再び震えた。彼が画面に目を落とす。次に何が来るか、私にはもう分かっていた。
「亜紗里が双子も連れて行きたいって。野生動物が見たいってせがまれてるらしい」
やっぱり。亜紗里は、自分が入り込めない家族行事なんて一度もなかった。
結局、私は折れた。真にどちらかを選ばせたくなかったし、五年もこんなことを繰り返していれば、譲歩することにも慣れてしまっていた。だから、その後の一週間は、彼らを旅程に組み込み、荷造りを手伝う羽目になった。
私は薬局の通路で乗り物酔いの薬のラベルを読みながら、理奈が眠くなるタイプと眠くならないタイプのどちらが効くのかを思い出そうとしていた。彼女は二十分以上のドライブでは必ず車酔いする。それは前回の強制参加の家族旅行でタホ湖へ行った時に学んだことだった。あの時、彼女は助手席で六時間もうめき続け、なぜか私が景色の良いルートを提案したせいだということになっていた。
ターゲットでは、金魚並みの集中力しか持たない七歳の双子の男の子たちのために、カートに娯楽用品を詰め込んだ。Wi-Fiがなくても使えるゲーム機。キャンピングカーでパンくず地獄を引き起こさないスナック。亜紗里が他人に後始末を任せるせいで、自分では決して用意しない類の準備だ。
カートに商品を追加するたびに、この旅行が本来あるべきだった姿の一部を、一つ一つしまい込んでいるような気がした。私が買っているのは、オンラインでブックマークしていたシャンパンやランジェリーじゃない。ドドラマミンとジュースの箱、そして他人の子供たちを夢中にさせておくための携帯充電器。その間に、私は自分の夫とロマンチックなひとときを過ごそうと努力するのだ。
出発の前夜、私は寝室の床に座り、三度目のスーツケースの整理をしていた。ギフトボックスが隣に置いてあり、ティッシュペーパーからありえないほど小さな靴がのぞいている。
靴を一つ手に取り、手のひらで転がしてみた。ほとんど重さを感じない。こんなに軽いものが、どうしてこれほどの希望を運べるのだろう?
まだ、うまくいくかもしれない。みんなが寝静まった後、真を散歩に誘えばいい。星空の下で二人きりになれる場所を見つけて、私の瞬間を迎えることができるかもしれない。完璧ではないだろうけど、彼の家族と一緒で完璧だったことなんて一度でもあっただろうか?
私は丁寧に畳んだ三層の服の下、スーツケースの底にその箱を埋め、自分に言い聞かせた。私は柔軟に対応している。理解を示している。妥協の仕方を知っている良い妻なのだ、と。
「五年も待ったんだから」私は化粧台の鏡に映る自分に言った。「理奈と亜紗里との一週間くらい乗り切れるわ。もっとひどいことだって乗り越えてきたじゃない」
でも、今朝七時に最後のバッグを運び出した時、私はやはりがっかりしていた。
車は人とその荷物で完全に満杯で、まともな席は一つも残っていなかった。
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