魔物と契約、今度こそ世界を救う!

魔物と契約、今度こそ世界を救う!

渡り雨 · 完結 · 23.9k 文字

547
トレンド
559
閲覧数
167
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

死に戻りの果て、魔獣との契約の日に再び舞い戻った。

誰もがエラに「翡翠鳥(ジェイドバード)」との契約を勧める中、エラだけが知っている。その魔獣が、やがて世界を破滅に導く【災厄】そのものであることを。

そんな折、後輩のメリッサが漆黒の幼竜(シャドウドラゴン)を連れてギルドに現れた。羨望の眼差しでエラの翡翠鳥(ジェイドバード)を見つめる彼女に、エラは静かに語りかける。

「メリッサ。そのちっぽけなドラゴンと、私の翡翠鳥(ジェイドバード)、交換しない?」

チャプター 1

 ギルドの契約ホールは、今日この日、特別な熱気に満ちていた。

 十年に一度だけ執り行われる、エリートメンバーと魔獣の契約儀式。ホールの中央に描かれた魔法陣が静謐な蒼光を放ち、その周囲を、期待と羨望の入り混じった眼差しを向けるギルドメンバーたちが幾重にも取り囲んでいる。

 エラ・セトリンは、その人垣の最前列に立っていた。

 亡きギルド長老の遺児である彼女は、優先選択権を与えられているだけでなく、その比類なき才能ゆえに、ギルド中の期待を一身に集めていた。

 彼女の静かな視線が、魔法結界に囚われた魔獣たちをゆっくりとなぞり、やがて絢爛たる羽を持つ一羽の翡翠鳥の上でぴたりと止まる。

 囚われの身でありながら、その翡翠鳥は少しも臆することなく、誇り高く佇んでいた。翠色の羽が魔法の光を浴びて蠱惑的な光沢を放ち、その姿は、さながら囚われの貴族のようだった。

「エラ、あの翡翠鳥は血統も申し分なく、秘める魔力量も桁外れだ。君にこそ相応しい」

 監督官の一人がエラの傍らに寄り、そっと耳打ちした。

「ギルドは、あの一羽を君に割り当てることを決定した」

 エラは無言で頷くと、翡翠鳥が囚われている結界へと静かに歩みを進めた。

 パリン、と軽い音を立てて結界が解かれる。だが、翡翠鳥はエラに歩み寄るかと思いきや、逆に数歩たたらを踏んだ。高く掲げられた頭、その瞳には明確な侮蔑の光がきらめいている。

「おいで」

 エラが白く細い指先を差し伸べ、静かに呼びかける。

 翡翠鳥は、キィ、と鋭く一声鳴くと、翼をわずかに開閉させる。依然として距離を保ったまま、服従する気など毛頭ないという構えだ。

 ホールに満ちていた期待の空気は、徐々に戸惑いの囁き声へと変わっていく。この気高き魔獣が、ギルド随一の天才であるエラを主と認めないのではないか。そんな疑念が、波のように広がっていった。

 その時だった。

「先輩、遅れてすみません!」

 人垣をかき分けるようにして、小柄な影が飛び込んできた。

 メリッサ・ブルームが、ぜえぜえと息を切らしながらエラの隣に駆け寄る。その腕の中には、息も絶え絶えといった様子の小さな暗影龍が抱えられていた。

「わ、私……本当は参加するつもりじゃなかったんですけど、この子が、あまりにも可哀想で……」

 自由冒険者からエリートメンバーに昇格したばかりの彼女は、次回の儀式を待つこともできたはずだ。だが、どうしても今回参加すると言って聞かなかったのだという。

 誰もが息を呑んだのは、次の瞬間だった。

 あれほど傲慢にエラを拒絶していた翡翠鳥が、メリッサの姿を認めるや、ふわりと軽やかに飛び立ち、彼女の肩へと舞い降りたのだ。そして、その高貴な頭を垂れ、甘えるようにそっと彼女の頬にすり寄せたのである。

「どうやら……私の方が気に入られちゃったみたいです」

 メリッサは小声で囁いた。その瞳に一瞬、勝ち誇ったような光が宿ったが、すぐに消え、困ったように眉が下げられる。

「すみません、先輩。わざとじゃないんです……」

 そこに、一人の長老が大股で歩み寄った。

「ブルーム、お前の魔力基盤は不安定だ! たとえ今、翡翠鳥がお前に興味を示そうと、いずれ十分な魔力を供給できなくなるぞ! この魔獣はエラのものとなるべきだ」

 長老の厳しい声が響き、ホールの空気が一気に張り詰める。

 エラがゆっくりとメリッサの前に進み出ると、メリッサはみるみるうちに目を赤くし、ひどくか弱い様子で慌てて釈明を始めた。

「先輩、私、本当にただ、ちょっと見てみたかっただけで……」

 エラは、しかし、彼女の言い訳に耳を貸す素振りも見せない。すっと手を伸ばすと、その腕の中から小さな暗影龍をひょいと抱き上げた。

 暗影龍が弱々しく目を開ける。その赤い瞳に、命の光が微かに瞬いた。

「その子と交換するわ」

 エラの不意の一言に、満場が水を打ったように静まり返り、次の瞬間、蜂の巣をつついたような騒ぎに包まれた。

「エラ、気は確かなのか!」

 監督官が慌てて前に出る。

「その暗影龍は血統も不明な雑種で、魔力量もたかが知れている! 翡翠鳥とは比べ物にならんぞ!」

 エラは答えず、ただ暗影龍の頭を優しく撫で、初めて微かな笑みを唇に浮かべた。

「決めました」

 彼女は心の中で静かに呟く。

 『この翡翠鳥は、ろくなものじゃない』

 エラ・セトリンは、七歳の時に暴走した魔獣に両親を殺害された。ギルド会長に救われ、弟子として引き取られた彼女は、常に特別な庇護のもとにあった。だからこそ、この瞬間、彼女の下した決断は、誰にも理解しがたいものだった。

 ただ、エラ自身だけが知っていた。

 前世でも、彼女は全く同じこの場所に立ち、あの翡翠鳥を選んだのだ。

 至宝として扱い、育てるために全てを捧げた。無数の魔力結晶を注ぎ込み、時には人食い魔獣の討伐といった命がけの依頼さえ引き受けた。満身創痍でねぐらに戻っても、翡翠鳥は一瞥もくれなかった。

 十年という歳月をかけ、ついに翡翠鳥が人型へと進化するのを助けた。

 それでも翡翠鳥は傲慢なままで、魔力結晶が欲しい時にだけ、彼女に命令を下すようになった。

 全てが変わったのは、あの日。

 エラは偶然見てしまったのだ。あの翡翠鳥が、メリッサの髪を優しく指で梳き、その瞳に慈しみと甘さを満たしているのを。

 そしてメリッサは、親しげに翡翠鳥の首に魔力の花輪をかけていた。二人の間に流れる空気は、誰が見ても親密そのものだった……。

最新チャプター

おすすめ 😍

妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった

妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった

543.6k 閲覧数 · 連載中 · 蛙坂下道
鈴木七海は、中村健に好きな人がいることをずっと知っていた。それでも、彼との結婚を選んだ。
しかし、結婚して5年後、彼は離婚を切り出した。その時初めて、彼の想い人が私の父の隠し子(私の異母兄弟)だと知った。
離婚を決意した七海だったが、その時にまさかの妊娠が判明した。
全能令嬢の帰還、家族が倒産?

全能令嬢の帰還、家族が倒産?

48.5k 閲覧数 · 連載中 · きりゅう りんか
万能の女神・夏川紅蓮が実家に戻ると、一家は何者かの手で破滅に追いやられた後だった。
父は冤罪で獄中にあり、母は病に伏せっている。
六人の兄たちも、ある者は身体に障がいを負い、ある者は無気力に沈んでいた。
そんな折、家に潜り込んでいた偽令嬢は状況を見るや否や一家を見捨てて姿を消し、さらに屋敷までも奪い取ろうとしていた。
世間は夏川家を「落ち目の負け犬」と嘲笑い、皆がこぞって踏みにじる。

紅蓮が静かに一声を発すれば、暗部より無数の異能の士たちが姿を現し、形勢は一瞬にして逆転する。
父は無実のまま出所し、母は健康を取り戻し、廃人同然だった長兄は再び己の足で歩き出し、残る五人の兄たちもまた紅蓮の導きによって各々の才覚を花開かせ、やがて各界を牽引する大物へと成り上がっていく。

しかし、そんな彼女を指さして嘲る者がいる。
「夏川紅蓮は地味で野暮ったい田舎者だ」と。

何を隠そう、彼女は無数の隠された顔を持つ存在。
神医の令嬢も彼女なら、国画の大家も彼女。
伝説のハッカーも彼女なら、正体不明の謎の女優も彼女。
そして、暗部を統べる首領さえも——彼女なのだ。

そんな折、頂点に君臨する名門の若様が、彼女をそっと腕のなかに抱き寄せた。

「誰が彼女を田舎くさい地味女だと言った? 彼女こそ、俺・諏訪淳行の婚約者だ」

紅蓮が流し目をひとつ送る。

「婚約、破棄しなくていいの?」

「しない」

彼が長いあいだ追い求めてきた決して手の届かない高嶺の花こそが、いま腕のなかにいる婚約者なのだ。
解消などありえない——この婚約は、死んでも解消しない。
死に戻り真令嬢の復讐 ~偽りの家族も血の兄も要りません

死に戻り真令嬢の復讐 ~偽りの家族も血の兄も要りません

28.7k 閲覧数 · 連載中 ·
前世の橘結衣は、兄たちに尽くし続けた。どんな理不尽にも耐え、健気に笑顔を向け続けた結衣を待っていたのは――お披露目パーティーでの無残な死だった。

破滅を経て死に戻った結衣は、人が変わったように冷徹になる。もう二度と、あの愚かな兄たちのために心を痛めたりはしない。

しかし、冷遇し始めた途端、兄たちの態度が一変する。

「いい加減、そんな冷たい態度を取るな」と迫る社長の長男。

「俺の誤解だったんだ……」と苦悩する医師の次男。

「頼む、やり直させてくれ!」とプライドを捨てて乞うトップスターの三男。

「俺の妹はお前だけだ!」と泣きじゃくる不良の四男。

だが、結衣の答えはひとつだけ。

「みんな、失せて」

復讐と無関心を胸に、彼女は一人の男性の手を取った。

「宮本景太。今日からあなただけが、私のたった一人の『お兄ちゃん』よ」

――しかし、彼女の本当の身分が明かされた時、今度は血縁関係のある「実の兄たち」が押しかけてきて――!?

「『唯一の兄』だと……? じゃあ、俺たちはお前の何なんだ!?」
間違いの刻印 息子と復讐

間違いの刻印 息子と復讐

1.8k 閲覧数 · 完結 · Abdulqudir Yusuf
カミラとキャロラインは、ムーンライト・パックの敬われる戦士団長ジャックの、瓜二つの双子の娘だ。優しく義務感の強いカミラは、アルファのマイケルと婚約し、彼のルナとなる者として選ばれていた。

一方で、大胆で向こう見ずなキャロラインは、姉妹が受ける栄誉をしばしば妬んでいた。

刻印の儀の夜、欲情に呑まれ、酒に酔いしれていたマイケルは取り違え、カミラではなくキャロラインと一夜を共にしてしまう。そして刻印は、誤ってキャロラインの身に刻まれた。

パックの誰もが、キャロラインこそが彼の真の伴侶なのだと信じた。カミラは仲間たちの前で辱めを受け――婚約は破談となり、居場所は双子の妹に奪われたのだ。

裏切られ、見捨てられたと感じたカミラは、禁じられた森へと逃げ込み、疲労と絶望に押し潰されるようにして、その場に崩れ落ちた。
隠された天才:裏の顔が多すぎて、気づけば世界のトップを震撼させていた件

隠された天才:裏の顔が多すぎて、気づけば世界のトップを震撼させていた件

31.8k 閲覧数 · 連載中 · たけの
私の名前は江川莉奈。

育ての親の一家に家を追い出されたあの日、私は微笑みを浮かべながら、奴らが施しとしてよこした金をゴミ箱へと投げ捨てた。

誰も想像すらできないだろう。この私が、数々の名門貴族や権力者たちが大金を積んで列をなし、首を長くして診察を待つ伝説の名医——【暁】だなんて。

私が時価総額数十億ドルのファッション帝国を裏で支配していることも、ウォール街の株価をたった一回の取引で大暴落させられることも、誰も知らない。私はその正体を、この平凡で冴えない素顔の裏にすべて隠し持っていた。

さらに劇的なことに、私の実の親はこの街で頂点に君臨する最高峰の大富豪だった。

そして私の婚約者——すでに顔を合わせているにもかかわらず、その正体を知らなかったあの男こそ、この街の誰もが名前を聞くだけで震え上がる、ビジネス界の冷酷な死神:梅原晴琉だったのだ。

ある日、彼は私の手を執り、ゆっくりと距離を詰めると、耳元で低く囁いた。

「俺のこの鼓動、今なら感じられるか?」

私は至って真面目な顔で彼の胸に手を当て、大真面目にこう返した。

「心拍数は確かに少し高めですが、非常に健康的です。心配ありませんよ」

彼は一瞬呆気にとられ、それからふっと吹き出した。その瞬間の彼の笑顔に、私の心臓もなぜかドクンと跳ねた。それは、自分自身でも説明のつかない初めての衝動だった。

だが、彼が私の真実に一歩ずつ近づくにつれ……私の心は揺らぎ始めている。自分の最後の秘密を、あとどれくらい隠し通せるのだろうか。

外されるはずのなかった仮面——。だが、あの人が執拗にその霧を剥ぎ取ろうとするとき、私は一体どこへ向かえばいいのだろう?
精神病院で怪物マフィアのペットになった私、鎖に繋がれて半径3メートルからの外出禁止なんて聞いてない!

精神病院で怪物マフィアのペットになった私、鎖に繋がれて半径3メートルからの外出禁止なんて聞いてない!

3.3k 閲覧数 · 連載中 · 桐島遥希
報酬目当てで引き受けた「孤島の精神病院での監視任務」。
しかし、待っていたのは地獄だった。
全身に返り血を浴びたかのような凶悪なマフィアの跡取り――その「ペット」として生きる三ヶ月の契約。
半径3メートル、鎖の届く範囲が私の世界のすべて。
夜、彼のベッドで丸まり、その腕の中に囲われる時、私は狂いそうなほど心地よい「支配」を感じてしまう。
私を襲った囚人を素手で制圧する彼の狂暴さは、私への独占欲の裏返し。
「お前は俺から逃げられない」
そう囁く彼の唇に支配され、私は今日もまた、この鎖が解けないことを願ってしまう。
離婚当日、元夫の叔父に市役所に連れて行かれた

離婚当日、元夫の叔父に市役所に連れて行かれた

190k 閲覧数 · 連載中 · van08
夫渕上晏仁の浮気を知った柊木玲文は、酔った勢いで晏仁の叔父渕上迅と一夜を共にしそうになった。彼女は離婚を決意するが、晏仁は深く後悔し、必死に関係を修復しようとする。その時、迅が高価なダイヤモンドリングを差し出し、「結婚してくれ」とプロポーズする。元夫の叔父からの熱烈な求婚に直面し、玲文は板挟みの状態に。彼女はどのような選択をするのか?
離婚後、奥さんのマスクが外れた

離婚後、奥さんのマスクが外れた

332.1k 閲覧数 · 連載中 · 来世こそは猫
結婚して2年後、佐藤悟は突然離婚を申し立てた。
彼は言った。「彼女が戻ってきた。離婚しよう。君が欲しいものは何でもあげる。」
結婚して2年後、彼女はもはや彼が自分を愛していない現実を無視できなくなり、過去の関係が感情的な苦痛を引き起こすと、現在の関係に影響を与えることが明らかになった。

山本希は口論を避け、このカップルを祝福することを選び、自分の条件を提示した。
「あなたの最も高価な限定版スポーツカーが欲しい。」
「いいよ。」
「郊外の別荘も。」
「わかった。」
「結婚してからの2年間に得た数十億ドルを分け合うこと。」
「?」
お払い箱の杖は、夜に咲く

お払い箱の杖は、夜に咲く

6.6k 閲覧数 · 連載中 · 森川澪
「目が見えるようになった途端、手すりの杖を捨てるのね」

事故で盲目かつ失聴した夫を5年間、溢れる愛で献身的に支え続けた主人公。しかし、五感が戻った夫が最初に抱きしめたのは、かつて彼が愛した初恋の女だった。

家族からも夫からも裏切られた彼女は、未练を一切捨てて離婚を決意。

離婚の理由に「夫の夜の体力不足」という最大の屈辱を書き残し、結婚指輪を捨ててあっさりと家を出る。

夫の好みに合わせてこれまで隠していた「息をのむほど明艶な美貌」を解放し、夜の街へと繰り出した彼女は、一瞬で全場の視線を独占する。

バーのVIP席からその圧倒的な美女を凝視し、なぜか目が離せなくなっている元夫は、まだ気づいていない。それが、自分が「地味で退屈な女」だと見下していた元妻の真の姿だということに……
舐めるつもり?なら、思い知らせてあげる

舐めるつもり?なら、思い知らせてあげる

53.6k 閲覧数 · 連載中 · 桜井 ゆい​
18年間、自分が実の娘でないとは知らずに生きてきた。ある日、荷物をすべて玄関の外に放り出され、街角に立ち尽くす私の前に現れたのは、噂では極貧だという「生家」から迎えに来た、見たこともない「兄」。

ところが、その兄が乗ってきたのはトラクターだった。

ガタガタと揺れるトラクターがたどり着いた先は、まるで古城のような大邸宅。そこで私は思い知る。本当の家族のもとに引き取られた私は、貧しくなるどころか、前よりずっと裕福になっていたのだ。

……だが、ちょっと待ってほしい。なぜ私には突然、婚約者というものが存在するのか。しかもその相手は、私の大学の教授だという。誰か、説明してくれないだろうか。
冷徹CEOと決別した天才画家

冷徹CEOと決別した天才画家

1.9k 閲覧数 · 連載中 · 森川澪
「お前などただの身代わりに過ぎない。妹の命を奪った罪、一生かけて生殺しで償え」

結婚初夜、冷徹な夫から愛する妹の「身代わり」として手ひどく扱われた主人公。

その直後、彼女は妹の策略によって「殺人犯」に仕立て上げられ、夫の手で陰湿な地下室へと監禁されてしまう。

病気の母親の治療費を人質にすべての財産を奪われ、暴雨のなか妹の墓前に跪かされた彼女に下されたのは、「胃がん末期」という非情な余命宣告だった。

夫への愛が完全に死んだ彼女は、母親を救うため、自身の天賦の才である「絵画」で生き残ろうと抗い始める。しかし、冷酷な夫は彼女の最後の希望さえも容赦なく踏みにじり、さらなる絶望の深淵へと追い詰めていく。
監禁から1年、捨てられた令嬢は元婚約者の叔父を娶る

監禁から1年、捨てられた令嬢は元婚約者の叔父を娶る

137.5k 閲覧数 · 完結 · 鈴木楓花
監禁から1年。ようやく帰宅した今井心晴を待っていたのは、変わり果てた日常だった。
家族は心晴を探そうともせず、あろうことか姉の今井優奈のために盛大な誕生日パーティーを開いていた。
しかも、その横には心晴の元婚約者の姿が……二人は婚約していたのだ。
しかし、心晴はただの被害者ではなかった。
彼女は人知れず巨額の資産と強大なコネクションを築き上げていたのだ。
真実を知った心晴は、復讐の狼煙を上げる。
彼女が選んだ新たなパートナーは、なんと元婚約者の叔父だった。
「これからは私のことを『おばさん』と呼ぶのよ、優奈!」