執着~マフィアに奪われた花嫁~

執着~マフィアに奪われた花嫁~

大宮西幸 · 完結 · 26.7k 文字

303
トレンド
303
閲覧数
0
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

「あなたなんて大嫌い!心底憎んでる!私を檻に閉じ込めた化け物!」

カタリーナ・サントスがそう叫んだ時、彼は彼女の喉を掴み、青い瞳に破壊的な怒りを燃やした。

「俺を憎む?お前は俺に借りがあるんだ」

十五年間彼女を守り続けた優しい保護者は、彼女を破滅させる復讐の獣と化していた。裏切りのせいで。彼女が他の男を愛することを選んだせいで。あの血塗られた夜が全てを粉々にしたせいで...

マフィアのお嬢様から孤島の囚人へ、愛された宝物から復讐の玩具へ。ディミトリは彼女に肉体で償わせ、苦痛で贖罪させようとしている。

逃亡の試み――毎回捕まる。抵抗――毎回打ち砕かれる。反抗――毎回征服される。

しかし最も危険なのは?彼女が彼の残虐性を求め始めていること、この破滅的な支配に溺れ、自分の震えが恐怖からなのか快楽からなのか分からなくなっていることだった...

憎悪が欲望に変わる時、この血塗られたゲームで真の囚人となるのは一体誰なのか?

チャプター 1

カタリーナ視点

 雨が銃弾となって私の顔を打ちつける。一滴一滴が、同じ真実を叫んでいた。「失敗だ」と。またしても、私は失敗したのだ。

 肺が焼けつくように熱く、両脚は鉛を流し込まれたかのように重い。この忌々しいジャングル――ぬかるみ、茨、絡みつく蔦――が、一歩進むたびに私を苦しめる。頬を伝うのが雨なのか、汗なのか、それとも血なのか、もう自分でも分からない。監禁されて丸一年。それでも私はまだ、逃げることを諦めてはいなかった。

「放して! 放してよ!」

 私は野生動物のように暴れたが、傭兵たちの拘束は鉄のように固かった。爪を立てて彼らの腕を血まみれにしたが、彼らは眉ひとつ動かさない。

 傭兵の一人が、ひどいロシア訛りの間延びした声で言った。「サントスのお嬢ちゃんよ、無駄な抵抗はやめな。ボスがお怒りだぜ」

 ボス。

 ディミトリ・ヴォルコフ。

 一年前に私の家族を灰にし、この美しい地獄へ私を引きずり込んだ男。かつてブーゲンビリアの下で私の手を握った少年は、今や私の悪夢となっていた。

 ついに別荘の明かりが豪雨を切り裂くように見えてきた。そして、彼がそこに立っていた。

 屋根のあるポーチの下で、ディミトリが待ち構えている。白いドレスシャツは濡れて肌に張り付き、捲り上げられた袖からは筋肉質の腕が覗いていた。この一年で、彼はより冷酷に、より強靭になっていた。その深い青色の瞳には、殺意めいた何かが宿っている。

 私が引きずられてくるのを、彼は歯ぎしりが聞こえるほど強く顎を食いしばって見下ろしていた。

「四度目だ」

 低く、死を告げるような声だった。

 背中を突き飛ばされ、私は彼の前で泥と雨にまみれて膝をついた。まるでジャングルが吐き出した汚物のような有様だ。髪から滴り落ちる水が、彼の磨き上げられた革靴の周りに水溜まりを作っていく。

「まだ借りは残っているはずだがな」彼は呟き、近づいてくると、指で私の顎を掴んで無理やり顔を上げさせた。「一体誰が逃げていいと言った?」

「借りなんてこれっぽっちもないわ!」私は唸り声を上げ、彼の目を真っ向から睨みつけるために立ち上がった。「私の家族を壊したのはあなたよ!」

 彼の眼差しは極寒のごとく冷え切っていた。彼は私の手首を、痣ができるほどの力で掴んだ。

「なら、その借りの意味を思い出させてやる」

 悲鳴を上げる間もなく、彼は私を屋内へと引きずり込み始めた。蹴っても、引っ掻いても、身をよじっても、彼は止まらない。

「放して! あなたにそんな権利はないわ!」

 彼は瞬き一つしなかった。ただ私を別荘の奥へと引っ張り、そのまま主寝室のバスルームへと連れ込んだ。

 扉が銃声のような音を立てて閉まる。

 手首が解放された。私は大理石の壁際までよろめき、肩で息をしながら彼を睨み据えた。

「汚物まみれだな」平坦な声。「洗え」

「私はあなたの犬じゃない!」私は冷たい石の壁に背中をつけた。「指図しないで!」

 彼は暗い笑みを浮かべ、ゆっくりと、これ見よがしにシャツのボタンを外し始めた。濡れた布地が剥がれ落ち、彫刻のような筋肉と古い傷跡が露わになる。それを見て、胃が裏返るような感覚に襲われた。

「自分で脱ぐか、俺が脱がすか。選べ」

 屈辱が、雨よりも熱く身を焦がす。

「この人でなし!」私は手近にあった重いソープボトルを彼の頭めがけて投げつけた。

 彼は造作もなくそれを避ける。ガラスが壁に当たって砕け散った。

「相変わらず気が強いな」彼は獲物を追うように距離を詰めてくる。「おかしいな。ガキの頃はこんなんじゃなかっただろう」

「それはあなたが冷血な人殺しになる前の話よ!」

 彼の表情に野蛮な何かが走った。次の瞬間、私は壁に押し付けられていた。彼の体が私を圧迫し、熱気が波のように押し寄せてくる。

「人殺しだと?」彼の吐息が顔にかかる。ミントと煙草の匂い。「じゃあお前の父親は何なんだ? 聖人君子とでも言うのか?」

「黙って!」押し返そうとしたが、彼の腕は微動だにしない。

「奴は俺の家族を裏切った。俺の両親を殺させたんだ」彼の空いた手が私の顎を掴み、視線を強制的に合わせさせる。「そしてサントスの血を引く『お嬢様』、お前がその代償を払うんだ」

 至近距離で見るその青い瞳の奥には、嵐が吹き荒れていた。

「私じゃない!」身をよじって抵抗したが、さらに強く密着させられるだけだった。「私は大学にいたのよ、何も知ら――」

「だが、その血が流れている」彼の親指が私の頬をなぞる。嘲るように、残酷に。「裏切り者の血がな」

 怒りが爆発した。私は彼の股間めがけて膝を突き上げる。だが彼は太腿でそれをブロックし、私をさらに強く壁に叩きつけた。

 気づけば、濡れたシャツは床に脱ぎ捨てられていた。彼の口が私の首筋に吸い付き、血が滲むほど強く噛みつく。

「いや――っ」泣き叫んで彼の胸を押し返そうとするが、彼は片手で私の両手首を捕らえ、背中側にねじり上げた。

 彼は膝で私の脚を無理やり開かせた。熱く、硬く、無慈悲な彼のものが入り口を押し当て、そして一気に奥深くまで、乱暴に突き入れられた。

 悲鳴が喉から迸り、彼の手のひらに押し殺される。痛みと衝撃で背中が反り返った。

「もっと泣け」耳元で彼が唸る。腰を打ち付けられ、一突きごとに深く、罰を与えるように貫かれる。濡れた音が大理石の床に響いた。「お前が泣けば泣くほど、激しく犯してやる」

 私は追い詰められた獣のように抵抗し、爪で彼の腕に赤い線を刻んだ。だが暴れれば暴れるほど、彼はより意地悪く、荒々しくなり、私を引き裂かんばかりの勢いで突き上げてくる。

 意思に反して絶頂が駆け抜けたとき、私は壊れた。涙が溢れ出し、体が震える。直後、彼も獣のような声を上げて私の最奥に熱いものを注ぎ込み、その刺激で私はまた抗えない痙攣に襲われた。

 彼が自身を引き抜く。脚の力が抜け、私は壁伝いに崩れ落ちて、抜け殻のように座り込んだ。呼吸ができないほど激しい嗚咽が漏れる。

 ディミトリがしゃがみ込み、私の顎を掴む。親指が唇の涙を拭った。その声は、純粋な氷のように冷たかった。

「俺からは逃げられないんだよ、カタリーナ」

最新チャプター

おすすめ 😍

妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった

妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった

472.7k 閲覧数 · 連載中 · 蛙坂下道
鈴木七海は、中村健に好きな人がいることをずっと知っていた。それでも、彼との結婚を選んだ。
しかし、結婚して5年後、彼は離婚を切り出した。その時初めて、彼の想い人が私の父の隠し子(私の異母兄弟)だと知った。
離婚を決意した七海だったが、その時にまさかの妊娠が判明した。
跡継ぎ問題に悩む御曹司様、私がお世継ぎを産んで差し上げます~十代続いた一人っ子家系に、まさかの四つ子が大誕生!~

跡継ぎ問題に悩む御曹司様、私がお世継ぎを産んで差し上げます~十代続いた一人っ子家系に、まさかの四つ子が大誕生!~

386.6k 閲覧数 · 連載中 · 蜜柑
六年前、藤堂光瑠は身覚えのない一夜を過ごした。夫の薄井宴は「貞操観念が足りない」と激怒し、離婚届を突きつけて家から追い出した。
それから六年後——光瑠が子どもたちを連れて帰ってきた。その中に、幼い頃の自分にそっくりの少年の顔を見た瞬間、宴はすべてを悟る。あの夜の“よこしまな男”は、まさに自分自身だったのだ!
後悔と狂喜に押し流され、クールだった社長の仮面は剥がれ落ちた。今や彼は妻の元へ戻るため、ストーカーのようにまとわりつき、「今夜こそは……」とベッドの隙間をうかがう毎日。
しかし、彼女が他人と再婚すると知った時、宴の我慢は限界を超えた。式場に殴り込み、ガシャーン!と宴の席をめちゃくちゃに破壊し、宴の手を握りしめて歯ぎしりしながら咆哮する。「おい、俺という夫が、まだ生きているっていうのに……!」
周りの人々は仰天、「ええっ?!あの薄井さんが!?」
離婚後、奥さんのマスクが外れた

離婚後、奥さんのマスクが外れた

317.2k 閲覧数 · 連載中 · 来世こそは猫
結婚して2年後、佐藤悟は突然離婚を申し立てた。
彼は言った。「彼女が戻ってきた。離婚しよう。君が欲しいものは何でもあげる。」
結婚して2年後、彼女はもはや彼が自分を愛していない現実を無視できなくなり、過去の関係が感情的な苦痛を引き起こすと、現在の関係に影響を与えることが明らかになった。

山本希は口論を避け、このカップルを祝福することを選び、自分の条件を提示した。
「あなたの最も高価な限定版スポーツカーが欲しい。」
「いいよ。」
「郊外の別荘も。」
「わかった。」
「結婚してからの2年間に得た数十億ドルを分け合うこと。」
「?」
舐めるつもり?なら、思い知らせてあげる

舐めるつもり?なら、思い知らせてあげる

24.8k 閲覧数 · 連載中 · 桜井 ゆい​
18年間、自分が実の娘でないとは知らずに生きてきた。ある日、荷物をすべて玄関の外に放り出され、街角に立ち尽くす私の前に現れたのは、噂では極貧だという「生家」から迎えに来た、見たこともない「兄」。

ところが、その兄が乗ってきたのはトラクターだった。

ガタガタと揺れるトラクターがたどり着いた先は、まるで古城のような大邸宅。そこで私は思い知る。本当の家族のもとに引き取られた私は、貧しくなるどころか、前よりずっと裕福になっていたのだ。

……だが、ちょっと待ってほしい。なぜ私には突然、婚約者というものが存在するのか。しかもその相手は、私の大学の教授だという。誰か、説明してくれないだろうか。
社長、突然の三つ子ができました!

社長、突然の三つ子ができました!

263.8k 閲覧数 · 連載中 · キノコ屋
五年前、私は継姉に薬を盛られた。学費に迫られ、私は全てを飲み込んだ。彼の熱い息が耳元に触れ、荒い指先が腿を撫でるたび、震えるような快感が走った。

あの忌まわしい夜から逃げるように去った私だったが、ほどなくして三つ子を妊娠していることに気付く。

五年後、医療界の新星として戻ってきた私は、継母、継姉、実の父へ全ての仕返しを誓う。

その時、彼が現れた。三人の小さな自分そっくりの顔をじっと見つめながら、優しく「パパ」と呼ぶよう子供たちを誘う彼。

ふとシャツのボタンを外し、悪戯っぽく笑って言った――

「どうだい、あの夜の熱をもう一度味わってみないか?」
私が彼を滅ぼした――だから、今度はこの命を捧げて守り抜く

私が彼を滅ぼした――だから、今度はこの命を捧げて守り抜く

3.9k 閲覧数 · 連載中 · 南宮
愛する人を殺めた罪の重さ、その疼きを私は決して忘れない。
二度目の生を得た私は、かつて私が踏みにじった孤独な王のもとへ再び舞い戻った。
「未来」という名の禁断の知恵を、唯一の嫁入り道具として。
彼に差し出される毒も、背後に潜む暗殺の罠も、すべて私の視界の中にある。
これは彼を導くための道標であり、魂の誓い。
彼を闇へ堕としたかつての私は、もういない。
今、私は彼を守り抜くために全てを焼き払う、最も鋭き刃となる。
偽物令嬢の逆転劇

偽物令嬢の逆転劇

73.4k 閲覧数 · 連載中 · ひかり
「泥棒女め、今すぐこの家から出て行きなさい!」

実の娘が戻ってきたその日、私はゴミのように家を追われた。
病弱な「お嬢様」の生きる輸血パックとして虐げられ、血を搾り取られ続けてきた日々。用済みになった途端、身に覚えのない盗みの罪を着せられ、婚約者からも冷酷に捨てられた。
元家族たちは、私が「貧しい田舎で野垂れ死ぬ」と信じて疑わなかった。

だが、彼らは何も知らなかったのだ。
私が、世界中のVIPが縋る伝説の名医であることも。
私を迎えに来たオンボロトラックが、実は国家機密級の超高級カスタムマシンであることも。
そして、私の本当の実家が、国さえも動かす世界屈指の超巨大財閥だということも!

「今まで苦労をかけたね、私たちの可愛いお姫様」
生き別れていた超過保護な両親と、各界の頂点に君臨する最強の兄たちに狂おしいほど溺愛されるシンデレラライフが幕を開ける!
一方、大切な「命の恩人」を自ら捨てた元家族たちには、破滅へと向かう絶望の後悔タイムが待ち受けていて!?

虐げられた天才少女が本当の愛と富を掴み取る、逆転ファンタジー、ここに開幕!
殺されたので戻りましたが、元夫の宿敵に執着されています

殺されたので戻りましたが、元夫の宿敵に執着されています

16.6k 閲覧数 · 連載中 · しらとり ちおり
前世で自分を殺した夫から逃れるため、必死の思いで飛び込んだ部屋。
そこにいたのは、あいつの最大最凶の「宿敵」だった――。

上半身裸の彼に壁へと押し付けられた私は、耳元でその低く甘い声を聴く。
「他の女たち?……どいつもこいつも、もっと優しくしてくれって泣いて縋ってくるがな」

ただの一時しのぎのはずだった。なのにその夜を境に、この危険な男は私に執着し、決して離そうとしない。

前世の夫への復讐を誓い、罠を仕掛けた「復讐劇」の舞台が間近に迫る中。
不敵に微笑む彼は、本当に式場をぶち壊しに現れるつもりなのだろうか――?
私が囲っている億万長者

私が囲っている億万長者

2.5k 閲覧数 · 連載中 · ほしの ちなつ
私はただ、心の痛みを紛らわせたかっただけ。

彼は息を呑むほど美しく、落ちぶれていた。夫の裏切りがもたらした傷が完全に癒えるまで、彼をそばに置いておくつもりだった。

お金で彼の付き添いを買い、すべてのルールを私が決め、すべてを完全に掌握しているつもりだった。

けれど、私の隣で横たわるこの男の正体は、彼が語ったものとはまるで違っていた。

魅惑的な笑顔と抗いがたい容姿の下に隠されていたのは、仇敵から身を隠す億万長者の素顔だった。

今や彼は、私の生活に、私のベッドに、そして私の心に――完全に絡みついている。

身を引くことは、彼のそばにいることよりも、もっと危険かもしれない。
婚約破棄後、私はヤクザの組長と結婚した

婚約破棄後、私はヤクザの組長と結婚した

62.6k 閲覧数 · 連載中 · やもり
裏切りと陰謀が渦巻く世界で、妃那(えな)は突然の誘拐事件に巻き込まれる。
救いの手を差し伸べたのは謎めいた男・葉夜(かなや)だったが、彼の真意は読めない。
一方、妃那の宿敵であり自信家の祈葉(いのか)は、自らの美貌と魅力を武器に黒社会の頂点を目指すが、
思いもよらぬ残酷な試練に追い込まれていく。
誤解と嫉妬、愛と憎しみが絡み合い、
それぞれの思惑がやがて一つの危険な運命へと収束していく――。
別人として再会した元夫に、なぜか二度目の熱い誓いを迫られています

別人として再会した元夫に、なぜか二度目の熱い誓いを迫られています

5.3k 閲覧数 · 連載中 · ^野田恵^
顔も知らぬ夫との、跡継ぎを残すためだけの冷酷な「契約結婚」。
3年間、一度も交わることのなかった夫婦関係の中で、夏目千尋は亡き母の遺品を取り戻すため、ある危険な賭けに出る。

会員制クラブで泥酔した男、神崎雅臣。
目的のため、彼をベッドへと誘い、一夜の情熱を共にした。千尋にとっては、それきりの割り切った取引のはずだった。……その男が、実は「自分の夫」であるとも知らずに。

その後、彼女は偽名「アンナ」を名乗り、有能なビジネスパートナーとして彼の前に再び現れる。
大胆で挑発的、自分の思い通りにならない彼女に、雅臣はいつしか狂おしいほどに惹かれ、その心を囚われていく。目の前で自分を翻弄する不敵な美女が、まさか自宅に放置している「自分の妻」だとは夢にも思わずに。

冷え切った関係に終止符を打つべく、テーブルに置かれた離婚届。
しかし、予期せぬ「妊娠」が、二人の隠された関係をすべてひっくり返す。

始まりは、冷徹な利害の契約だった。
裏切りと欺瞞のゲームの果てに、先に愛の底へ堕ちたのは、一体どちらなのか――。
すべてを奪われた令嬢は、やり直しの人生で微笑む

すべてを奪われた令嬢は、やり直しの人生で微笑む

26.1k 閲覧数 · 連載中 · 夢物語
冷たい土の中、私はゆっくりと息絶えようとしていた。
視界を染めるのは絶望の闇。そして、耳元に届くのは――従妹・原田紀奈の、歪んだ嘲笑。

「お姉ちゃん、恨むなら自分の甘さを恨みなさい」

父の薬をすり替え、母を死に追いやり、兄の事故さえ仕組んだ。すべては、目の前で笑うこの女の仕業だった。
さらに突きつけられる、あまりにも残酷な真実。

「あなたの婚約者はね、あなたが身を削って得たお金で、私への婚約指輪を買ったのよ?」

――すべてを奪われ、絶望の中で命を落とした、はずだった。

しかし、次に目を覚ますと、そこは見覚えのある「19歳の誕生日パーティー」の会場。
前世と同じように、婚約者の七瀬崚介が私に無実の罪を着せ、謝罪を迫っている。

(……でも、もう私は、あの頃の愚かな人形じゃない)

奪われた人生も、向けられた悪意も、そのすべてを覚えている。
今度は、私が奪い返す番。
裏切り者たちに、地獄以上の絶望を――たっぷり利子を付けて、返してあげる。