別れた後、元彼の義理の妹になった

別れた後、元彼の義理の妹になった

間地出草 · 完結 · 33.0k 文字

732
トレンド
2k
閲覧数
234
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

神谷家の晩餐会で、私はワイングラスを握りしめ、拓真(たくま)が政治家の令嬢と政治や事業について語り合うのを聞いていた。その会話に加わる資格さえ私にはなかった。その夜遅く、書斎で彼が私のことを「平民出身の玩具に過ぎない」と電話で話しているのを偶然聞いてしまい、6年間の献身がいかに馬鹿げていたかを思い知らされた。

西陽市(せいようし)に逃げた後、この一族から永遠に逃れられると思っていた。しかし、拓真の弟・和人(かずと)がバーで私を助け、仕事を提供してくれた時、彼の眼差しに宿る優しさに心が躍った。元恋人の弟に恋をするなんて、私は狂っているのだろうか?それでも彼が「君は大切にされるべき人だ」と言った時、私は思わずにはいられなかった。今度こそ、この賭けに出てもいいのかもしれない、と。

チャプター 1

 「美玲、また俺のファイルをめちゃくちゃにしたな」

 おはようございます、と口にするよりも早く、二階から神谷拓真さんの不満そうな声が響いた。心臓がどきりとして、私はフライ返しを落とし、階段を二段飛ばしで駆け上がった。

 「ごめんなさい、本当にごめんなさい。すぐに整理し直します」。散らばった書類を必死でかき集めながら、私は何度も謝った。「私が馬鹿で、拓真さんの意図を理解できなかっただけで……」

 拓真さんはうんざりしたように手を振った。「もういい。俺の仕事のファイルには二度と触るな。こんな重要書類、お前に扱える代物じゃない」

 胸に痛みが走ったが、それでも私は何度も頷いた。「はい、肝に銘じます。本当に申し訳ありませんでした……」

 「今日は大事な会議があるんだ。余計なことをするなよ」。着替えながらそう言うと、彼は付け加えた。「ああ、それと今夜は親族の集まりがある。お前も来い」

 一瞬、瞳に喜びが灯る。私は恐る恐る尋ねた。「本当ですか? 私が行っても……ご迷惑になりませんか?」

 「ちゃんとした格好をしろ。恥をかかせるなよ」。拓真さんは振り返りもせずに言った。

 その言葉は棘のように刺さったが、それでも心が躍るのを止められなかった。親族の集まり! 拓真さんがようやく私を連れて行ってくれるんだ!

 「気をつけます。絶対に恥をかかせたりしませんから」。私は誓うように言った。

 その日の夜、私は一時間もクローゼットの前に立ち尽くし、一番地味な黒いドレスを選んだ。派手すぎず、それでいてみすぼらしくも見えないものを。

 神谷組の屋敷はおとぎ話のように美しかったが、私の緊張は高まるばかりだった。ここにあるものすべてが優雅で、洗練されている。私は本当にここにいてもいいのだろうか?

 「拓真くん!」。狩野議員が私たちの方へ足早に歩み寄ってきた。「久しぶりだね」

 「先生、ご無沙汰しております」。拓真さんは即座に外面用の笑顔に切り替えた。

 「そちらは?」。議員の視線が私に注がれる。

 「こちらは美玲です。私の……友人です」。拓真さんは「友人」という言葉の前で明らかにためらった。

 友人? 胸がずしりと重くなったが、私は無理に笑顔を保った。

 議員は頷くと、隣にいる若い女性に目を向けた。「娘の由香里です。最近、海外から戻りましてね。由香里、こちらが拓真くんだ」

 由香里さんは優雅に手を差し出した。「拓真さん、お噂はかねがね伺っております。先日参加した政策シンポジウムでも、多くの方が神谷組のことを話題にされていましたわ」

 彼女の一つ一つの所作は洗練されていて、その口調からは育ちの良さが窺えた。

 二人の隣に立つ私は、まるで透明人間になったかのようだった。彼女と比べれば、私はただのアシスタント――弁護士ですらない。

 話が政治のことに移ると、由香里さんはごく自然に会話に加わり、素晴らしい知識を披露した。私は何も口を挟むことができず、ただ黙って脇に立っているしかなかった。

 年配の女性がちらりと私たちを見て、拓真さんに意味ありげに言った。「近頃の若い方は、なかなか釣り合いの取れたお相手を見つけるのが大変ですこと」

 恥ずかしさで顔が熱くなり、私は誰とも目を合わせられずに俯いた。拓真さんはすぐそばに立っているのに、私を庇う言葉は一言もなかった。

 由香里さんは拓真さんと政治問題について熱心に語り合っており、私の存在などまるで気にも留めていないようだった。私には理解できない専門用語だらけの二人の会話を聞きながら、拓真さんと由香里さんこそが、本当にお似合いの二人なのではないかと思ってしまった……。

 その夜、私は終始、自分が場違いな存在だと感じていた。誰かが学歴や経歴、家柄の話をするたびに、私は黙っていることしかできなかった。何を言えというのだろう? 私は平凡な大学を出ただけで、ただのアシスタントに過ぎないのだから。

 「美玲さんは、どんなお仕事を?」と、とうとう誰かが私に尋ねた。

 「私……法律事務所でアシスタントをしています」。私は小声で答えた。

 「まあ、アシスタントさん……」。その女性の口調には明らかな失望の色が浮かんでおり、すぐに別の話題へと移ってしまった。

 屈辱感でいっぱいだった。やはり、私をここに連れてきたのは間違いだったのだ。私のような人間が、どうしてこんな場所にいられるだろう?

 夜が更けるにつれ、息が詰まるような感覚に襲われた。向けられる視線の一つ一つ、交わされる言葉の端々が、私に告げているようだった。お前はここにふさわしくない、と。

 「お手洗いに行ってきます」。私は拓真さんに小声で告げた。

 彼は振り返りもせず、何人かの重要人物との会話に夢中なまま頷いた。

 静かな廊下を歩きながら、胸の内にこみ上げる痛みを必死に抑えようとした。もしかして、私は本当にダメな人間なのだろうか? 拓真さんが私と一緒にいるのは、ただの憐れみから? 考えてみれば、私のような出自の人間が神谷家の跡継ぎから愛されるなんて、それ自体が奇跡なのだから……。

 その時、聞き覚えのある声が聞こえた――拓真さんの声だ。書斎から聞こえてくる。

 「由香里さんは、実に理想的なお相手だな」と、知らない男が言った。

 私の足は凍りついた。

 「確かにそうだな」。拓真さんの声には、私が今まで聞いたことのないような軽やかさがあった。「議員令嬢で、一流の学歴。まさに釣り合いの取れた相手だよ」

 結婚? 私は息を呑み、そっと書斎のドアに近づいた。

 「美玲さんのことはどうするんだ? もう六年になるんだろう?」

 拓真さんの次の言葉が、私の世界を完全に打ち砕いた。

 彼は侮蔑するように笑った。「六年か。正直、もうとっくに飽きている。平民出のアシスタントなんて、書類整理くらいしか能がない。今夜だって、あの場で一言も口を開けなかっただろう」

 平民出? 私は自分の口を手で押さえ、声が漏れるのを必死に堪えた。

 「まるで頭の空っぽな飾り物だよ。俺の周りをうろちょろして、自分が奥様気取りでいるんだからな。由香里さんが一言話す方が、あいつの六年間……いや、存在そのものより価値がある」。拓真さんの声には、嘲りが満ちていた。

 今夜の自分の振る舞いを思い返す――確かに、何も話せず、何も理解できなかった……。彼の目には、私は本当にこれほどまでに無価値な存在だったのだ。

 「それで、いつ頃……」

 「来月には適当な理由をつけて別れるさ」。拓真さんはこともなげに言った。「どうせただの遊び道具だ。おもちゃに飽きたら、新しいものを手に入れるのは当然だろう。あんな身分の女、六年もそばに置いてやっただけでも感謝すべきだ」

 「それに、あいつは俺が本気で愛していると純真に信じ込んでいる。六年間、俺が囁いた甘い言葉を全部信じてるんだからな……哀れなもんだよ」

 書斎から得意げな笑い声が響き、その一つ一つが刃のように私の心を切り裂いた。

 平民出……遊び道具……トロフィー……。

 六年間、私は本当に彼の承認を求める犬のようだった! 夜明けに彼の資料を整理していた自分を思い出す。今夜、彼に恥をかかせまいと震えていた自分を思い出す。ついさっきまで、自分が至らないせいだと自分を責めていたことを思い出す……。

 彼が私を愛していると信じ込んでいたなんて、なんて馬鹿げていたのだろう! 六年間のキスも、「愛してる」という言葉も、すべてが演技だったのだ! 私は彼の前で、道化のように献身を演じていただけだったのだ!

 六年! 丸々六年! 私は最も美しい青春をこのクズ男に捧げ、結局彼の目にはただの笑いものとして映っていただけだった!

 私は静かに廊下を離れ、遠くの角で待った。

 十五分ほどして、拓真さんはもう一人の男と書斎から出てきて、メインホールへと戻っていった。私は深呼吸をして、彼の元へ歩み寄った。

 「拓真さん、少し気分が悪いので、先に帰って休ませていただきます」。私は静かに言った。

 彼は私に目を向けることもなく、面倒くさそうに手を振った。「ああ、勝手にしろ。俺はまだ話がある」

 そうして、私は一人で神谷家の屋敷を後にした。

 六年にわたる屈辱は、今夜で終わった。そして、私たちも終わった。

最新チャプター

おすすめ 😍

家族を離れ、自由を望んでる私は既にある者の虜になった

家族を離れ、自由を望んでる私は既にある者の虜になった

56.5k 閲覧数 · 連載中 · 鯨井
彼氏に裏切られた後、私はすぐに彼の友人であるハンサムで裕福なCEOに目を向け、彼と一夜を共にした。
最初はただの衝動的な一夜限りの関係だと思っていたが、まさかこのCEOが長い間私に想いを寄せていたとは思いもよりなかった。
彼が私の元彼に近づいたのも、すべて私のためだった。
氷の社長が溶かされていく。ストイックな彼の、灼熱の恋

氷の社長が溶かされていく。ストイックな彼の、灼熱の恋

33.6k 閲覧数 · 連載中 ·
彼女が中村良太郎の娘であるというのか。
人の行き交う喫茶店で、少女の白い顔に重い平手打ちが叩き込まれた。
真っ赤に腫れた右頬を押さえ、彼女の瞳は虚ろで、反撃する気など微塵も感じさせない。
周りの人々は、侮蔑と嘲笑の入り混じった視線を彼女に向け、嘲笑うばかりで、誰一人として彼女を庇う者はいなかった。
自業自得だからだ。
誰のせいで、彼女が中村良太郎の娘であるというのか
父、中村良太郎は建築家として、自身が設計した建物で事故が起きたため、有罪判決を受けて刑務所に入ることになった。
母も心労で入院している今となってはなおさらだ。
黒田謙志。中村奈々の現在のスポンサーであり、今朝、会社で彼女と肌を重ねたばかりの黒田家の長男。
今、彼は、自分の婚約者に跪いて謝罪しろと彼女に命じている。
初恋よ、引き下がれ!

初恋よ、引き下がれ!

34k 閲覧数 · 連載中 · 午前零時
結婚してから、夫が私に触れたことは一度もなかった。
私は、彼を無性愛者なのだと思い込んでいた。……あの日、彼の裏切りを知るまでは。

夫の浮気が発覚したのは、相手の女が病院に運ばれたからだった。二人の行為があまりに激しかったせいだという。

そして、何よりも私を打ちのめしたのは、その相手が――私の実の妹だったという事実だ。

その瞬間、心臓を煮えたぎる油に放り込まれたような、耐え難い激痛が全身を貫いた。
裏切られた後に億万長者に甘やかされて

裏切られた後に億万長者に甘やかされて

719.9k 閲覧数 · 連載中 · FancyZ
結婚四年目、エミリーには子供がいなかった。病院での診断が彼女の人生を地獄に突き落とした。妊娠できないだって?でも、この四年間夫はほとんど家にいなかったのに、どうやって妊娠できるというの?

エミリーと億万長者の夫との結婚は契約結婚だった。彼女は努力して夫の愛を勝ち取りたいと願っていた。しかし、夫が妊婦を連れて現れた時、彼女は絶望した。家を追い出された後、路頭に迷うエミリーを謎の億万長者が拾い上げた。彼は一体誰なのか?なぜエミリーのことを知っていたのか?そしてさらに重要なことに、エミリーは妊娠していた。
婚約破棄後、私はヤクザの組長と結婚した

婚約破棄後、私はヤクザの組長と結婚した

28.3k 閲覧数 · 連載中 · やもり
裏切りと陰謀が渦巻く世界で、妃那(えな)は突然の誘拐事件に巻き込まれる。
救いの手を差し伸べたのは謎めいた男・葉夜(かなや)だったが、彼の真意は読めない。
一方、妃那の宿敵であり自信家の祈葉(いのか)は、自らの美貌と魅力を武器に黒社会の頂点を目指すが、
思いもよらぬ残酷な試練に追い込まれていく。
誤解と嫉妬、愛と憎しみが絡み合い、
それぞれの思惑がやがて一つの危険な運命へと収束していく――。
今さら私の墓前で悔いるな

今さら私の墓前で悔いるな

37.9k 閲覧数 · 連載中 · 神奈木
あの頃、私はまだ木村家の長女だった。
学校は私にとって、遊び場が変わっただけのようなものだった。
けれど、私は次第に気づいていった。どの授業でも一番前の席には、いつも同じ真面目な男子学生が座っていることに。
そして、いつも学校の一等奨学金が、同じ名前の生徒に贈られることに。山本宏樹。
いつからか、私は彼の後を追いかけるようになっていた。
大学の卒業式で、山本宏樹は奨学金を得た優秀な卒業生だった。
彼は卒業生代表の挨拶の場で、私が彼の恋人だと公言し、全校生徒数万人の前でプロポーズしてくれた。
あの頃、彼は前途有望な若き社長で、卒業前からすでに自分の会社を立ち上げていた。
一方の私は、骨肉腫だと診断されたばかりで、明日の太陽を見ることさえ贅沢な望みだった。
私は彼のプロポーズを断り、それから治療のために海外へ渡った。
しかし誰もが、私が貧乏な若者である彼を見下し、金持ちの御曹司に乗り換えて海外へ行ったのだと思っていた。
帰国後、彼は私に五百万円を投げつけ、彼と結婚するように言った。
「もう疲れた」不倫夫を捨て、自由になる

「もう疲れた」不倫夫を捨て、自由になる

36.7k 閲覧数 · 連載中 · 青木月
結婚して5年。
数日前には幼馴染と楽しげに戯れていた夫が、今度は初恋の女を連れてホテルの入り口へと消えていく。

二人は人目もはばからず、濃厚な口づけを交わしていた。
夫の腕の中にいる女は、潤んだ瞳で彼を見つめている。一見すると純情そうだが、その眼の奥には私への明らかな悪意が潜んでいた。

妻である私は、ただその場に立ち尽くすしかなかった。
爪が掌に食い込み、血が滲む。
けれど、手の痛みより、引き裂かれた心の痛みのほうが遥かに強かった。

冷たい風が、私の髪を揺らす。
その瞬間、ふと強烈な疲れを感じた。

ああ、もういいや。
5年間の結婚生活。
私は彼を許すのをやめ、自分自身を解放することにした。
名門貴族との甘い結婚

名門貴族との甘い結婚

3.8k 閲覧数 · 連載中 · 佐藤製作所
かつて勘当した娘がホワイトシティで名を馳せたことを知り、愕然とした。産業界の巨人、学術界の権威、そしてAリストの俳優たちが、彼女のおかげで成功を収めたと口を揃えて語った。彼女の元カレは、夢の女性を選んで彼女を捨てたものの、今や彼女を取り戻そうと必死に懇願していた。しかし、彼女のそばには、背が高くハンサムな男性が立ち、「私の妻に何をしているつもりだ?」と宣言した。
その男性こそ、ホワイトシティ一の大富豪だったのだ。
双子の秘密

双子の秘密

34.5k 閲覧数 · 連載中 · 鯨井
冷たい契約結婚を3年間経て、一夜の情事の後、彼女は無慈悲にも彼と離婚しました。彼の目には自分がずっと悪役だったことを悟り、彼女は去ることを選びましたが、三つ子を妊娠していることを知りました。しかし、子供たちの誕生後、次男の謎めいた失踪は消えることのない傷跡を残しました。

5年後、彼女は子供たちを連れて戻ってきましたが、再び彼と出会ってしまいます。長男は彼の傍にいた少年が、失踪した弟だと気付きました。血のつながった兄弟は身分を交換し、誇り高きCEOである父親が母の愛を取り戻すための計画を立てたのです。
社長、突然の三つ子ができました!

社長、突然の三つ子ができました!

96.2k 閲覧数 · 連載中 · キノコ屋
五年前、私は継姉に薬を盛られた。学費に迫られ、私は全てを飲み込んだ。彼の熱い息が耳元に触れ、荒い指先が腿を撫でるたび、震えるような快感が走った。

あの忌まわしい夜から逃げるように去った私だったが、ほどなくして三つ子を妊娠していることに気付く。

五年後、医療界の新星として戻ってきた私は、継母、継姉、実の父へ全ての仕返しを誓う。

その時、彼が現れた。三人の小さな自分そっくりの顔をじっと見つめながら、優しく「パパ」と呼ぶよう子供たちを誘う彼。

ふとシャツのボタンを外し、悪戯っぽく笑って言った――

「どうだい、あの夜の熱をもう一度味わってみないか?」
令嬢は離婚を機に大富豪への道を歩む

令嬢は離婚を機に大富豪への道を歩む

654.9k 閲覧数 · 連載中 · 蜜柑
天才陰陽師だった御影星奈は、かつて恋愛脳のどん底に落ち、愛する男のために七年もの間、辱めに耐え続けてきた。しかしついに、ある日はっと我に返る。
「瀬央千弥、離婚して」
周りの連中はこぞって彼女を嘲笑った。あの瀬央様がいなくなったら、御影星奈は惨めな人生を送るに決まっていると。
ところが実際は――
財閥の名家がこぞって彼女を賓客として招き入れ、トップ俳優や女優が熱狂的なファンに。さらに四人の、並々ならぬ経歴を持つ兄弟子たちまで現れて……。
実家の御影家は後悔し、養女を追い出してまで彼女を迎え入れようとする。
そして元夫も、悔恨の表情で彼女を見つめ、「許してくれ」と懇願してきた。
御影星奈は少し眉を上げ、冷笑いを浮かべて言った。
「今の私に、あなたたちが手が届くと思う?」
――もう、私とあなたたちは釣り合わないのよ!
本物令嬢の正体がばれました

本物令嬢の正体がばれました

41k 閲覧数 · 連載中 · ワニノコ
新谷南は新谷家で二十年も育てられたのに、本当の娘が戻ってきた途端、あっさり家を追い出された。

デザイン部のディレクターの席? 本当の娘へ。
何千万円もの価値がある婚約話? 本当の娘へ。

会社中の人間が、彼女という「野良扱いの娘」がどう転げ落ちていくか、笑いものにしようと様子をうかがっていた。

そんなある日、世界限定二十台の高級バイクが会社の前に止まる。降りてきた不良っぽいイケメンが言った。

「妹、兄貴と一緒に帰るぞ」

新谷家の人間「……は?」

そのあとで彼らはようやく知ることになる。

彼女こそ、国内外の美術館の館長たちが面会待ちの列を作る「南先生」と呼ばれるアーティストであり、
新谷グループの全受賞特許の名義人であり、
さらに、伝説の「国家並みの資産を持つ」と噂される周防家の、本当の長女だということを。

大手財閥の若き当主は、封印していた婚約書を取り出し、薄く唇を吊り上げる。

「なるほど。俺の本当の婚約者は、君だったわけか」