彼らが決して愛さなかった姉

彼らが決して愛さなかった姉

大宮西幸 · 完結 · 20.0k 文字

708
トレンド
709
閲覧数
0
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

私の婚約者ダニエルはいつも婚約を盾に私を脅し、養女の妹アイビーのためにすべてを犠牲にするよう強要する。

私の両親は私のバレエ学院の入学枠を人質に取り、アイビーに譲るよう迫る。

以前なら、私は泣いて、騒いで、抵抗した。

でも婚約者が百回目の婚約破棄をちらつかせ、アイビーに腎臓を提供するよう要求してきたとき、私は承諾した。

みんなが言った。私はついに大人になった、分別がついた、と。

彼らが知らないのは――私はもうすぐ死ぬということ。

チャプター 1

 婚約者のダニエルは、いつも婚約を盾にして私を脅してくる。

 義理の妹であるアイビーのために、全てを犠牲にしろと。

 両親は、私のバレエスクールの入学枠をネタに脅迫してくる。

 それをアイビーに譲れと。

 以前の私なら、泣き叫んで、抵抗しただろう。

 だが、ダニエルが百回目の脅し文句を口にした時――婚約破棄をチラつかせ、私の腎臓をアイビーに寄越せと要求してきた時、私は承諾した。

 周囲は口を揃えて言う。私がようやく大人になって、分別がついたのだと。

 彼らは知らないのだ。

――私がもうすぐ死ぬということを。

 ダニエルから百回目の婚約破棄を突きつけられたその時、私は手の中にある癌の診断書を見つめていた。

「イヴリン、アイビーの腎不全が深刻な状態なんだ。医者はすぐにでも移植手術が必要だと言ってる。このままじゃ命に関わるんだ」

「適合率は完璧らしい。君がドナーになると言うなら、すぐに手術の手配をする。だが、もし同意しないなら……」

「――婚約は解消だ。アイビーにはもう時間が残されていない。俺は彼女と結婚したいんだ、法的に彼女を支えてやりたいから」

 私は静かに耳を傾けていたが、その瞳に宿る冷徹さと、それが当然だと言わんばかりの態度に心が凍りつくようだった。

 この手の脅しは聞き飽きた。アイビーの腎不全が発覚して以来、両親とダニエルは入れ替わり立ち替わり私を説得しに来るのだ。

 両親はバレエスクールの権利を盾にする。それは十年もの血の滲むような努力の末に掴み取った、夢への切符だった。

 ダニエルはもっと残酷だ。彼が婚約破棄をチラつかせるのは、これで九十九回目になる。

 理由はいつだってアイビーだ。彼女への輸血を少しでも躊躇った時、彼女が私の婚約指輪を欲しがって私が拒んだ時、宴会の席で酔った彼女の送迎をダニエルがするのを黙認した時……。

「アイビーはもう限界なんだ! 腎臓を一つあげるだけで彼女は助かる。どうして拒むんだ?」

 あの頃はまだ自分が癌に侵されているとは知らず、ただ日に日に衰えていく体調を理由に断った。

 拒絶した途端、誰もが私を軽蔑の眼差しで見た。身勝手で、冷酷で、物分かりが悪いと罵った。

 母は言った。

「あんたはお姉ちゃんでしょう。妹の面倒を見る義務があるわ。アイビーを助けないなら、バレエなんて諦めなさい! あの子を引き取った時、ちゃんと面倒を見るって約束したじゃない。そんな身勝手な子に育てた覚えはないわ」

 父も追撃した。

「その通りだ! アイビーは幼い頃からお前を羨んでいた。生まれつき体が弱くて、何一つお前に勝てなかったんだぞ。それなのに、こんな些細な願いも聞いてやれないのか? お前には失望したよ。アイビーを見捨てるなら、親子の縁を切るつもりでいてくれ!」

 今思い出しても胸が痛む言葉たちだが、もうどうでもいい。

 どうせ私は死ぬのだから。

 視線を診断書に落とす。自宅で死ぬか、手術台の上で死ぬか。そこに違いなどあるだろうか。

 どうせ、誰も私のことなど気にかけていない。

 ダニエルが眉をひそめ、さらに追い討ちをかけようとしたのを遮った。

「いいわ、提供する」

 彼は呆気にとられ、次いで顔を上げて私を見た。驚きと歓喜がない交ぜになった表情だった。

「本当か? よかった! これでアイビーは助かる!」

 彼は飛び上がらんばかりに喜び、両親へボイスメッセージを吹き込み始めた。

「同意してくれたよ! ああ、書類にサインさせる。すぐに手術の手配を!」

 その興奮した様子を眺めながら、私は自嘲気味に口元を歪めた。

 左手の薬指に視線を落とす。三年前、ダニエルが私のために選んでくれた婚約指輪だ。彼は言った。この指輪は二人の永遠の証だと。

 プロポーズの日、片膝をついて涙ぐんでいた彼の姿が蘇る。

「イヴリン、君に家をあげる。僕たち二人だけの温かい家を」

 あの時、私は本気で彼を信じていた。

 私は指輪を静かに回し、躊躇なく引き抜いた。

 戻ってきたダニエルは、私が彼の鞄に何かを入れていることに気づいた。

 彼は怪訝な顔をする。

「何をしてるんだ?」

 私は微笑んだ。

「なんでもないわ」

 ダニエルの目に疑念が走る。

 素早く鞄の中身を確認し、そこに婚約指輪を見つけると、彼の顔色が一変した。

 彼は私の手首を掴み、指輪を強引にはめ直そうとする。

「冗談のつもりだったんだ。婚約解消なんてするわけないだろう」

 私はそっと手を引き抜いた。無表情のまま。

 指輪は彼の掌に残されたままだ。

 スマホが鳴った。父からだ。

「イヴリン! 帰ってきなさい。手術の日程について話し合うぞ」

「わかったわ」

 短く答え、通話を切る。

 帰りの車中、ハンドルを握るのはダニエルだ。

 赤信号で停車した際、彼が私の手を握りしめてきた。

「顔色が悪いな。帰ったらゆっくり休むといい。術前検査の手配は済ませておいたから。手術に耐えられる体か確認しないとな」

 心配しているような口ぶりだが、透けて見えるのは下心だ。アイビーに移植する貴重な腎臓を万全の状態に保ちたいだけなのだ。

 私の体に異常があれば、アイビーが望むものを得られなくなるからだ。

 窓の外を流れる街の灯りを眺める。私の時間は、もう残り少ない。

 玄関のドアを開けるなり、母の感極まった泣き声が聞こえてきた。母はアイビーを抱きしめ、涙ながらに言っている。

「アイビー、助かるわよ! もう大丈夫だから……」

 母の胸に寄りかかったアイビーの瞳が、勝ち誇ったように怪しく光った。

「お姉ちゃん、ありがとう」

 私は何も言わず、ただ頷くだけだった。

 父は私が翻意するのを恐れ、すぐさまスマホを取り出した。

「イヴリン、今すぐ病院に電話して手術日を確定させるぞ。もう気変わりはしないな?」

 私が否定しないのを見て、彼は手際よく手配を進めた。

「お前なら正しい選択をすると信じていたよ」

 電話を終えた父は、安堵の表情で私を座らせた。

「ようやく分かってくれたか。お姉ちゃんとしての役割というものが」

 彼は一呼吸置き、諭すように続けた。

「アイビーを贔屓していると恨まないでくれ。あの子は養子で、昔から体が弱く、何一つお前に勝てなかった。お前には健康な体があり、バレエの才能があり、ダニエルの愛がある。あの子には何もないんだ。お前が全てを手にするのを、指をくわえて見ているしかなかった。お前よりも、あの子の方が親の愛情を必要としているんだよ」

 幼い頃から、アイビーのために譲歩を迫られる時は決まってこの言い訳だった。

「だが、私たちもお前を蔑ろにするつもりはない」

 父は続けた。

「バレエスクールの枠はキープしてあるし、結婚式も予定通り行う。お前に与えるべきものは何一つ減らさないさ」

 私は首を横に振り、こみ上げる苦い感情を必死に押し殺した。

「バレエスクールの枠はアイビーにあげて。私はもう、必要ないから」

最新チャプター

おすすめ 😍

家族を離れ、自由を望んでる私は既にある者の虜になった

家族を離れ、自由を望んでる私は既にある者の虜になった

56.5k 閲覧数 · 連載中 · 鯨井
彼氏に裏切られた後、私はすぐに彼の友人であるハンサムで裕福なCEOに目を向け、彼と一夜を共にした。
最初はただの衝動的な一夜限りの関係だと思っていたが、まさかこのCEOが長い間私に想いを寄せていたとは思いもよりなかった。
彼が私の元彼に近づいたのも、すべて私のためだった。
妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった

妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった

389.9k 閲覧数 · 連載中 · 蛙坂下道
鈴木七海は、中村健に好きな人がいることをずっと知っていた。それでも、彼との結婚を選んだ。
しかし、結婚して5年後、彼は離婚を切り出した。その時初めて、彼の想い人が私の父の隠し子(私の異母兄弟)だと知った。
離婚を決意した七海だったが、その時にまさかの妊娠が判明した。
婚約破棄後、私はヤクザの組長と結婚した

婚約破棄後、私はヤクザの組長と結婚した

28.3k 閲覧数 · 連載中 · やもり
裏切りと陰謀が渦巻く世界で、妃那(えな)は突然の誘拐事件に巻き込まれる。
救いの手を差し伸べたのは謎めいた男・葉夜(かなや)だったが、彼の真意は読めない。
一方、妃那の宿敵であり自信家の祈葉(いのか)は、自らの美貌と魅力を武器に黒社会の頂点を目指すが、
思いもよらぬ残酷な試練に追い込まれていく。
誤解と嫉妬、愛と憎しみが絡み合い、
それぞれの思惑がやがて一つの危険な運命へと収束していく――。
社長、突然の三つ子ができました!

社長、突然の三つ子ができました!

96.2k 閲覧数 · 連載中 · キノコ屋
五年前、私は継姉に薬を盛られた。学費に迫られ、私は全てを飲み込んだ。彼の熱い息が耳元に触れ、荒い指先が腿を撫でるたび、震えるような快感が走った。

あの忌まわしい夜から逃げるように去った私だったが、ほどなくして三つ子を妊娠していることに気付く。

五年後、医療界の新星として戻ってきた私は、継母、継姉、実の父へ全ての仕返しを誓う。

その時、彼が現れた。三人の小さな自分そっくりの顔をじっと見つめながら、優しく「パパ」と呼ぶよう子供たちを誘う彼。

ふとシャツのボタンを外し、悪戯っぽく笑って言った――

「どうだい、あの夜の熱をもう一度味わってみないか?」
不倫夫を捨てた夜、私は新しい彼に抱かれる

不倫夫を捨てた夜、私は新しい彼に抱かれる

556.5k 閲覧数 · 連載中 · 七海
初恋から結婚まで、片時も離れなかった私たち。
しかし結婚7年目、夫は秘書との不倫に溺れた。

私の誕生日に愛人と旅行に行き、結婚記念日にはあろうことか、私たちの寝室で彼女を抱いた夫。
心が壊れた私は、彼を騙して離婚届にサインをさせた。

「どうせ俺から離れられないだろう」
そう高をくくっていた夫の顔に、受理された離婚届を叩きつける。

「今この瞬間から、私の人生から消え失せて!」

初めて焦燥に駆られ、すがりついてくる夫。
その夜、鳴り止まない私のスマホに出たのは、新しい恋人の彼だった。

「知らないのか?」
受話器の向こうで、彼は低く笑った。
「良き元カレというのは、死人のように静かなものだよ?」

「彼女を出せ!」と激昂する元夫に、彼は冷たく言い放つ。

「それは無理だね」
私の寝顔に優しくキスを落としながら、彼は勝ち誇ったように告げた。
「彼女はクタクタになって、さっき眠ってしまったから」
本物令嬢の正体がばれました

本物令嬢の正体がばれました

40.6k 閲覧数 · 連載中 · ワニノコ
新谷南は新谷家で二十年も育てられたのに、本当の娘が戻ってきた途端、あっさり家を追い出された。

デザイン部のディレクターの席? 本当の娘へ。
何千万円もの価値がある婚約話? 本当の娘へ。

会社中の人間が、彼女という「野良扱いの娘」がどう転げ落ちていくか、笑いものにしようと様子をうかがっていた。

そんなある日、世界限定二十台の高級バイクが会社の前に止まる。降りてきた不良っぽいイケメンが言った。

「妹、兄貴と一緒に帰るぞ」

新谷家の人間「……は?」

そのあとで彼らはようやく知ることになる。

彼女こそ、国内外の美術館の館長たちが面会待ちの列を作る「南先生」と呼ばれるアーティストであり、
新谷グループの全受賞特許の名義人であり、
さらに、伝説の「国家並みの資産を持つ」と噂される周防家の、本当の長女だということを。

大手財閥の若き当主は、封印していた婚約書を取り出し、薄く唇を吊り上げる。

「なるほど。俺の本当の婚約者は、君だったわけか」
「もう疲れた」不倫夫を捨て、自由になる

「もう疲れた」不倫夫を捨て、自由になる

36.7k 閲覧数 · 連載中 · 青木月
結婚して5年。
数日前には幼馴染と楽しげに戯れていた夫が、今度は初恋の女を連れてホテルの入り口へと消えていく。

二人は人目もはばからず、濃厚な口づけを交わしていた。
夫の腕の中にいる女は、潤んだ瞳で彼を見つめている。一見すると純情そうだが、その眼の奥には私への明らかな悪意が潜んでいた。

妻である私は、ただその場に立ち尽くすしかなかった。
爪が掌に食い込み、血が滲む。
けれど、手の痛みより、引き裂かれた心の痛みのほうが遥かに強かった。

冷たい風が、私の髪を揺らす。
その瞬間、ふと強烈な疲れを感じた。

ああ、もういいや。
5年間の結婚生活。
私は彼を許すのをやめ、自分自身を解放することにした。
離婚当日、元夫が復縁を懇願してきた件

離婚当日、元夫が復縁を懇願してきた件

93.3k 閲覧数 · 連載中 · 鯨井
彼女は代理結婚を強いられたが、運命のいたずらか、昔から密かに想い続けていた人の妻となった。

五年間の結婚生活の末に待っていたのは、離婚と愛人契約だけだった。

お腹の子供のことは誰にも告げず、我が子を豪門の争いに巻き込まないよう、離婚後は二度と会わないと誓った。

彼は、またしても彼女の駆け引きだと思っていた。

しかし、離婚が成立した途端、彼女は跡形もなく姿を消した。

彼は狂ったように、彼女が行きそうな場所を片っ端から探し回ったが、どこにも彼女の痕跡は見つからなかった。

数年後、空港で彼は彼女と再会する。彼女の腕の中には、まるで自分を小さくしたような男の子が。

「この子は...俺の子供なのか?」震える声で彼は問いかけた。

彼女はサングラスを上げ、冷ややかな微笑みを浮かべながら、
「ふぅん、あなた誰?」
氷の社長が溶かされていく。ストイックな彼の、灼熱の恋

氷の社長が溶かされていく。ストイックな彼の、灼熱の恋

33.6k 閲覧数 · 連載中 ·
彼女が中村良太郎の娘であるというのか。
人の行き交う喫茶店で、少女の白い顔に重い平手打ちが叩き込まれた。
真っ赤に腫れた右頬を押さえ、彼女の瞳は虚ろで、反撃する気など微塵も感じさせない。
周りの人々は、侮蔑と嘲笑の入り混じった視線を彼女に向け、嘲笑うばかりで、誰一人として彼女を庇う者はいなかった。
自業自得だからだ。
誰のせいで、彼女が中村良太郎の娘であるというのか
父、中村良太郎は建築家として、自身が設計した建物で事故が起きたため、有罪判決を受けて刑務所に入ることになった。
母も心労で入院している今となってはなおさらだ。
黒田謙志。中村奈々の現在のスポンサーであり、今朝、会社で彼女と肌を重ねたばかりの黒田家の長男。
今、彼は、自分の婚約者に跪いて謝罪しろと彼女に命じている。
離婚カウントダウン ~クズ夫の世話なんて、誰がするか!

離婚カウントダウン ~クズ夫の世話なんて、誰がするか!

12.2k 閲覧数 · 連載中 · 水瀬結
あいつらは、私がただの『無力な盲目の妻』だと思っている。……とんだ勘違いだ。

奇跡的に視力を取り戻した私が最初に目にしたもの。それは、愛人と絡み合う『献身的な夫』の姿だった。彼の『揺るぎない愛』など真っ赤な嘘。すべては私の莫大な財産を奪うための策略に過ぎなかったのだ。

今度は私が騙す番だ。証拠を徹底的に集め、彼からすべてを奪い取ってやる。

だが、私の復讐劇は予期せぬ展開を迎える。街で最も強大な権力を持ち、冷徹と噂される大富豪が現れたのだ。彼は私の秘密――目が見えていること――を知っていた。そして、悪魔のような取引を持ちかける。
『俺の個人秘書になって借金を返せ。あの夫への制裁……俺も手を貸してやろう』

愚かな夫は、盲目の私を弱者だと信じ込んでいる。だが彼は間もなく思い知ることになるだろう。
視力を取り戻した資産家の妻ほど、危険な存在はないということを。
クズ男の叔父さんと結婚したら、溺愛されすぎ

クズ男の叔父さんと結婚したら、溺愛されすぎ

14.4k 閲覧数 · 連載中 · 佐藤製作所
安田美香は彼氏の藤原辰が本当に自分のことを好きかどうか試そうと思い、自分が誘拐されたふりをして藤原辰を脅したのですが、藤原辰は安田美香のことを全く気にかけず、むしろ安田柔子のことをもっと心配していました。安田美香が失望のどん底にいたその時、クズ男の元カレである叔父の藤原時が駆け込んできました。
俺様社長とその婚約者——すれ違う愛

俺様社長とその婚約者——すれ違う愛

17.3k 閲覧数 · 連載中 · 紗良益子
私のバレエダンサーとしてのキャリアが崖っぷちに立たされていたその日、婚約者は別の女と一緒に産婦人科で妊婦健診を受けていた。

問い詰めても、彼は何も答えようとしない。私は決意した——こんな馬鹿げた婚約など、破棄してしまおうと。

その後、私は一千万円を投じて、彼にそっくりな若い男を囲った。

やがて事態は思わぬ方向へと転がり始める。元婚約者との間には、何か重大な誤解が横たわっているようだった。けれど、それが運命のすれ違いなのか、それとも世界が仕組んだ悪戯なのか——私たちはもう、二度と交わることのない道を歩み始めていた。